今日は、成功の裏には必ず「タネもしかけもある」という話をします。

例えば、俳優やタレントさんなどが、「その美貌、体形維持のため、日ごろ、どのようなケアをしているのですか?」と聞かれて、「特別なことは何もしていません」と答えることがあります。しかし、よくよく聞いてみると、食べ物に気を付けていたり、毎朝トレーニングをしていたり、ちゃんと「タネもしかけもある」ことが分かります。

また、「偏差値30からスタートして現役で東大に合格した」という人が、雑誌やメディアなどのインタビューで、「特別なことは何もしていません。必死で1年半勉強しただけです」と話していることもあります。ただ、これもよくよく調べてみると、「東大に合格した10人から聞いた勉強法を忠実に実践した」「家族や友人など周りが勉強しやすい環境づくりに協力し、食事にも気を使い、ずっと励まし続けてくれた」など、何かしらの「タネもしかけもある」ことが分かります。

何かを成し遂げた人が、そのための「特別なことは何もしていません」と話す背景には、本人の謙遜や、聞き手の共感を損なわないようにとの意図もあるでしょう。ですが、私は、「本人が、本当に特別なことは何もしていないと思っている」場合も少なくないと考えています。例えば、その俳優やタレントさんにとって、体に良い食事やトレーニングは当然のことで、特別なことだとは認識していない、ということです。

東大合格にしても同じです。「東大に合格したいなら、合格するための最適な方法を考え、工夫するのは当たり前」で、本人や家族は何ら特別なことをしている感覚がないのかもしれません。

こうした話から私が皆さんに伝えたいのは、まず、部下や後輩にも成功してもらいたいと思っている上司や先輩は、自分が意識していない「タネやしかけ」を見つけて言語化し、伝えてほしいということです。逆に若手社員の皆さんは、上司や先輩の「タネやしかけ」を貪欲に吸収するように頑張ってください。

例えば、社内の営業成績トップのメンバーに成約が取れる秘訣を聞いてみると、「特別なことをしているわけではない。相手にとって本当に必要なこと、ためになることは何か、それだけをずっと考え続けてご案内しているだけ」と言います。「相手に必要なことだけを考え続ける」というのは、ビジネスではなかなかできることではありません。本人にとっては当たり前でも、私に言わせると、それこそが「タネやしかけ」なのです。

私の経験から言うと、こうした「タネやしかけ」ができるまでには、「圧倒的な努力の積み重ね」や「試行錯誤」をしているはずです。こうした裏打ちがあるからこそ、会社にとって貴重な財産になり、競合他社には見破れない我が社の「強み」になるのです。

さあ、皆さんの持っている「タネやしかけ」は、どのようなものでしょうか?

以上(2022年6月)

pj17107
画像:Mariko Mitsuda

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