もうすぐ2018年も終わりを迎えます。今年もさまざまなことがありました。中でも、9月に女優の樹木希林さんが亡くなったことは、私自身がファンだったこともあり、とても衝撃的な出来事でした。
独特の雰囲気を持っていた樹木希林さんは、さまざまな名言を残したとされています。私が忘れられないのは、あるインタビューで次のような趣旨の発言をしていたことです。
「自分のことを俯瞰(ふかん)して、自分が今、この世の中でどのくらいの位置にいるのかなというのを見誤らないようにしている」
樹木さんは、マネジャーを置かず、出演料の交渉も自分で行っていました。彼女は、先の言葉の通り、いつも自分がどのくらいの位置にいるかを見誤らないようにしているため、「出演料の交渉ほど簡単なものはない」のだそうです。
相手が提示した金額が少ないと思えば断り、過大に評価されていると感じれば、自ら、「そこまでの金額を出さなくてもよい」と言うこともあったそうです。言葉を選ばずに言うと、業界における自分の価値と、自分に付けられるべき「値段」を分かっていたということなのでしょう。
私は、「値段」とは、「支払う側が価値を認めてくれた信頼の証し」だと思っています。ビジネスでは、「売上」と言い換えてもよいでしょう。当社の「売上」は、お客様が当社の価値を認め、信頼してくれている証しではないでしょうか。
皆さん、いま一度振り返ってみてください。今年一年、皆さんは、お客様からの信頼に応える仕事、つまり「売上に値する仕事」をしてきましたか。お客様の立場に立ち、どのような対応や提案をすれば、お客様にとって一番良いのかを考え、行動に移そうとしてきたでしょうか。
また、ビジネスでは「売上」を見ているだけでは不十分です。「利益」のことも考えられるようにならなければなりません。「利益」を生み出し、そして増やすには工夫が必要です。誰と関わり、どのような進め方をすれば「利益」が今より増えるのか。無駄なこと、少しでも改善できることはないのか。「利益」とは、皆さんがそうして一つひとつの仕事に対して向き合うことで増えていくものなのです。
皆さんは今年、何か一つでも「利益」を生み出す工夫、増やす工夫をしましたか。ぜひ、上司や同僚と話をしてみてください。もし、工夫が足りなかったというなら、来年こそは工夫するよう心掛けましょう。
お客様が私たちにくれた「売上」という名の信頼。その「売上」に対し、私たちが工夫して「利益」を増やし、新しいビジネスや取り組みに投資して成長していくことこそ、お客様の信頼に応えることに他なりません。
「売上」は信頼の証し、「利益」は工夫の証しです。肝に銘じておきましょう。
以上(2018年12月)
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画像:Mariko Mitsuda