従業員の皆さん、おはようございます。今、あえて「従業員の皆さん」と呼び掛けたのは、この言葉についての話をするためです。皆さんは「従業員」と呼び掛けられて、どのように感じましたか? また、「サラリーマン」という言葉について、どのような印象を持っていますか?

なぜこのような質問をしたかというと、私は近い将来、「従業員」や「サラリーマン」という言葉が使われなくなると思っているからです。

今の世の中は、「会社とは何か」や「働くこととはどういうことか」についての考え方が急速に変化しています。会社はただ利益を上げるだけでなく、「公器」としての社会的な意義が求められるようになりました。また、働き方改革やワークライフバランスなどの浸透で、さまざまな価値観に合わせた多様な働き方が広がってきています。

世の中の考え方が変化する中で、「従業員」や「サラリーマン」という言葉は、時代に合わないものになってきているように感じます。

例えば「従業員」という言葉は、「業務に従事する者」という意味ですが、「従」と「業」に分割してみると、少しニュアンスが変わってきます。「従」には「従う」「従える」という主従関係を表すこともあります。「業」も、「ぎょう」と読めば、「暮らしの手立て」を意味しますし、「ごう」と読めば、仏教用語の「前世や過去の行為の報い」を指すこともあります。全体的に、なんとなく「やらされ感」を抱いてしまう言葉です。

実際に、「従業員」という言葉を敬遠する会社も少なくありません。東京ディズニーリゾートでは、従業員を「キャスト」と呼んでいますし、「スタッフ」「メンバー」「パートナー」「クルー」と呼ぶ会社もあります。また、トヨタ自動車の従業員は「トヨタマン」と呼ばれることがありますし、米国のグーグルの従業員は、誇りを持って自分たちのことを「グーグラー」と言うそうです。

また、「サラリーマン」という言葉も、将来的には使われなくなるのではないでしょうか。元来、日本の造語であって英語にはない言葉ですが、あえて直訳すると、「給与生活者」という意味になります。働くことの意義が必ずしも給与のためだけではなくなってきている中で、社会のためなど大きな目的を持って働いている人に対して、「サラリーマン」と呼ぶのには違和感があります。

私は言葉の意味にこだわって、いわゆる「言葉狩り」をするつもりはありません。ですが、その言葉の背景にあるものは、きちんと理解しておく必要があると思っています。そして、我が社には、先ほど述べたような時代に合わない「従業員」や「サラリーマン」は必要ないと思っています。

私は皆さんに「やらされ感」で仕事に向き合ってほしくありませんし、給与のためだけに働く人にもなってもらいたくありません。もっと前向きに、自分の目標を達成するための1つの方法として、深く大きな喜びを感じながら、今の仕事に取り組んでもらいたいと思っています。

以上(2022年4月)

pj17096
画像:Mariko Mitsuda

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