皆さんは、「量質転化(りょうしつてんか)」という言葉を知っていますか。これは、「量を積み重ねていくと質的な変化が起こる」ということを表しています。質を上げたかったら、とにかく量を積み重ねる。これは、仕事や勉強などにおいて、よく言われることです。

例えば、営業で考えると分かりやすいでしょう。営業活動の中でお客さまと信頼関係を築き、成果を上げたかったら、ひたすら毎日、愚直にアプローチする量を積み重ねる。連絡し続ける。勉強も同じです。練習問題を何問も何問も解くと、理解が深まり、資格試験に合格するなど成果が上がる。

このように、「量質転化」は定義としては非常にシンプルで、誰もが「そりゃそうだ」と思うようなことです。しかし、実現するのは簡単ではありません。

まず、「量を積み重ねる」ということ自体が、なかなか難しいのです。「質」を変化させるくらいの「量」なので、生半可な量ではありません。以前、あるコピーライターの方に聞いたのですが、その方は若い頃、キャッチコピーの案を毎日100個考えた時期があるそうです。毎日です。100個。気が遠くなります。1カ月間だけだったとしても、キャッチコピーの案は3000個になります。

また、別のある方は、毎日10人の社長に会い話を聞く、ということを10年間続けています。ざっと1カ月で延べ200回、10年で延べ2万4000回以上、毎日社長に会い、話を聞き続けています。

質を変化させるくらいの量とは、こうした「圧倒的な量」を言うのだと思います。そして、この圧倒的な量を積み重ねることで、初めて気付くこと、見えてくるものがあり、それが「質的な変化」につながっていくのでしょう。

毎日100個のキャッチコピーの案を考えていたコピーライターの方は、「売れるコピーには法則がある」などの気付きを得て、トップレベルの世界で活躍されています。毎日10人の社長に10年間会い続けている方は、人と人をつなぎ新しいビジネスを創り出して非常に多くの社長から頼られ、日々東奔西走、大活躍されています。

先ほど、営業活動を例に挙げましたが、「量質転化」は営業だけの話ではありません。企画案を1日100本出してみる。商品のユーザーヒアリングを1000人にやってみる。チームメンバー全員との1on1を、1週間に一度、年間約50回やり続けるということでもいいでしょう。

量を積み重ねると、脳が、「それに特化した脳」になっていきます。私は、商品の企画案を1週間で100本考えることにしています。常に頭の片隅には「企画」のことがあり、何を見ても聞いても「これは企画にしたら面白いか?」と考えます。360度、「企画脳」になっているイメージです。おかげで、毎日が楽しく感じられるのです。

「量質転化」は、「量」のために行動することがまず大事です。皆さんも、「量質転化」を実践してみてください。きっと毎日が変わります。

以上(2024年2月作成)

pj17172
画像:Mariko Mitsuda

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