【ポイント】
- 頼りなかった部下が、短い期間で別人のように成長することがある
- 部下を成長させる1つのポイントは、「1人でやってみるしかない環境」をつくること
- 「どうすればよいか」を自分で考えさせることが、部下の成長につながる
先日、取引先であるプロジェクトの打ち合わせに参加したときのことです。しばらくぶりで会った先方の若手社員の姿に、私は非常に感動しました。なぜなら、彼の成長が目覚ましく感じられたからです。半年前にプロジェクトに参加することになった彼は、最初の頃、まさしく「右も左も分からない」様子でおどおどとしており、発言もままならない状況でした。
しかし、今の彼は、上司など周りの意見に流されることなく、自分の意見を堂々と発言します。しかも言い方が丁寧で内容が前向きなので、反対意見でも反論されたほうは嫌な気持ちになりません。時々冗談を言って、場を沸かせるほどの余裕も身に付けていました。話を聞くと、彼は難易度が高くスピード感も要求されるさまざまな仕事を任され、多くの人と調整や交渉を重ねる中でたくましく成長したようです。彼自身の頑張りもありますが、彼を育てた上司の力も大きかったのでしょう。
上司の皆さんの中には、「部下が成長してくれない」と悩んでいる人も少なくないでしょう。そんなときは、あえて難しいことを部下に任せて一生懸命考えさせ、汗をかかせてください。まずは部下が「1人でやってみるしかない環境」をつくってみること。上司の指示や確認のもとで仕事を進めている部下は、心のどこかで上司に頼る癖がついています。それができない環境をつくるのです。
例えば、今まで上司と一緒に訪問していた先に部下を1人で行かせてみるのもよいでしょう。実際に自分1人で事前準備をし、出かけて行き、相手と話をするという経験は必ず部下を成長させてくれます。訪問先で部下は、聞かれたことに答えられず、自分自身の至らなさを悔しく感じるかもしれません。相手とうまく会話することができず、恥ずかしい思いをすることもあるでしょう。そうした経験をして初めて部下は、「どうすればよいか」を自分で考えるようになり、変わっていきます。
悔しさや恥ずかしさを感じて帰ってきた部下を、上司は大いに褒めたたえてください。部下がたくましいビジネスパーソンへと変化する第一歩を踏み出したことは間違いないのですから。人は簡単には変われませんが、変わるときには大きく変わります。部下がたくましく変貌を遂げることができるか否かは、上司の皆さん次第です。
以上(2024年11月更新)
pj16921
画像:Mariko Mitsuda