最近、私は「PMBOK」というプロジェクトマネジメントの手法を学んでいます。当社の新規事業であるウェブサービスの開発が進む中、私自身がプロジェクトマネジャーを務めるケースが増えたため、基本を学ぼうと思ったのです。

プロジェクトマネジメントの手法はさまざまですが、大きく2つに分けられます。1つ目は、最初に要件を“ガチガチ”に決め、上流工程から順番に進めていく「ウォーターフォール開発」です。もう1つは、わりと“フワッ”とした要件からでもよいのでまずは作り始め、走りながら改善していく「アジャイル開発」です。

私が学んでいるPMBOKは、ウォーターフォール開発の手法です。この手法は、要件定義が終わらなければ実装に入れないのでもどかしく、一度要件が決まると、基本的に後戻りができないという難点がありますが、学んだこともあります。

例えば、具体的なイメージを関係者間で共有する癖がつきました。要件定義が曖昧な状態でプロジェクトを進めると、後で必ずトラブルが起こります。そのため、プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの関係者に対して、さまざまな角度からアプローチして必要な情報を集め、明確な方針を打ち出します。こうした進め方のため、情報収集の際に、関係者から「曖昧で表面的な発言」が出ると非常に気になります。こうした発言は、どんなに奇麗な言葉で説明されても、「まぁ、そうですよね」という結論しか導き出せません。

こうした発言は、実は新人よりもキャリアの長い人にありがちです。業種を問わず、長い間同じ業務に携わっていると、その分野のことを、それなりに話せるようになります。しかし、その時々で必要な知識を深め、常に自分の考えを持つようにしなければ、それはうわべだけの発言になってしまいます。発言通りに事を進めていくとどうなるのか、発言の後に続く行動はどのようなものか、という具体性が欠けてしまうのです。

先日あるクライアントに依頼され、ウェブコンサルタントとの定例ミーティングに参加したのですが、そのウェブコンサルタントは、まさにそうしたタイプでした。聞こえのよい言葉を並べ、「ここが重要です」「今後もウオッチします」などと言うものの、なぜ重要なのか、これまでウオッチしてきた結果はどうなのか、今後は具体的に何をウオッチするのかには一切触れません。要は何もしておらず、うわべだけで話しているのです。

さて、皆さんの話には具体的な中身があるでしょうか。細かいところにまで言及していれば具体的である、というわけではありません。ビジネスは突き詰めれば、「やるか、やらないか」です。

私が考える具体的な話とは、「やるか、やらないか」を決めるための判断材料になり得るかどうかです。これはつまり、発言者が当事者として、足元はもちろん、少し先の未来も見据え、「自発的に具体的な行動を起こすことを前提とした意見」かどうかということなのです。

以上(2020年11月)

pj17030
画像:Mariko Mitsuda

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