先日、営業部のAさんがお客様のハートをつかむ素晴らしい働きをしてくれたので紹介します。ぜひ、皆さんもお手本にしてください。
Aさんの上司であるB課長から私が受けた報告によると、今回の件は、次のようなAさんの進言から始まりました。
「C社に提出した報告書で引用しているデータの最新版が公表されました。トレンドが少し変わったようです。C社の担当者は、その資料を使って3日後に会議をするはずなので、すぐに更新版を送ったほうがよいと思います。このままだと、担当者は他の出席者からデータが古いことを指摘され、立場が悪くなる恐れがあります」。
この進言をB課長は受け入れ、すぐに報告書の更新と再提供をAさんに指示しました。この対応はC社の担当者から深く感謝され、信頼関係が強まったそうです。
このようないきさつを、B課長は誇らしげに私に報告してくれたわけです。
「先んずれば人を制す」と言います。Aさんが先手を打って対応してくれたからこそ、わが社はC社とより良い関係を築くことができました。逆に、Aさんの進言がなければ、C社の担当者は「データが古い!」と会議で指摘されてしまったかもしれません。その場合、担当者の怒りの矛先は当社に向かい、「データが更新されたのなら教えてほしい。お金を払っているのだから」とクレームを言ってきたでしょう。
このように、ビジネスの局面はたった1つの行動によってがらりと変わります。皆さんがビジネスを有利に進めるためには、Aさんのように、こちらのほうから先に行動を起こして、自分たちのペースをつくることも必要です。そのために、皆さんは次の2つのことを実践してください。
1つ目は、お客様や取引先に少なくとも月に一度は連絡をして、相手の状況をできるだけ把握することです。今、相手が何をしようとしているのか、どのようなことを懸案事項と認識しているのか、いつ私や上司に質問されても答えられるくらいにしておいてほしいのです。
2つ目は、声に出すことです。少しでも「おかしい」「こうしたほうがいい」と思ったら、そのことを上司や周りに必ず伝えましょう。そうすれば、その件は検討事項となり、何らかの行動を起こすことにつながります。
以上、Aさんのことを中心にお話ししましたが、最後に、B課長にもお礼を言いたいと思います。AさんがC社を含めお客様や取引先に月に一回以上の連絡をしていたのは、B課長がそうしているのを見てきたからです。また、Aさんが臆することなく進言できたのは、B課長が部下の言葉に耳を傾ける姿勢を示してきたからです。そしてB課長は、C社のことを自分ではなくAさんの手柄として私に報告してきました。簡単なようでなかなかできることではありません。管理職の方は、ぜひ、チームづくりの参考にしてください。
以上(2021年8月)
op16863
画像:Mariko Mitsuda