おはようございます。皆さんは、オーケストラの生演奏を聞いたことがありますか。実は、私には趣味でチェロをやっている友人がいて、その友人が参加するアマチュアオーケストラを見に行くことがあります。私自身は音楽にあまり明るくないのですが、何十人もの演奏者が、寸分の乱れもなく統率されたメロディーを奏でる姿には、いつも圧倒されます。演奏する楽器はそれぞれ違うのに、彼らが奏でるメロディーは、まるで歯車のようにカッチリとかみ合い、人々を感動させるのです。今日は、オーケストラの演奏者がどのように“いい音楽”を作り上げているのか、彼らの「練習」をテーマに話をしたいと思います。
学生や社会人が集まるアマチュアオーケストラの場合、自分の楽器の「個人練習」を行うのと併せ、「チームでの練習」として、
- 演奏者全員が集まって「合奏」
- 管楽器と弦楽器の演奏者に分かれて「分奏」
- 同じ楽器の演奏者が集まって「パート練習」
- 再び演奏者全員が集まって「合奏」
という流れを繰り返し行うそうです。自分の楽器を演奏するだけでは、曲の流れや全体像が分かりませんし、演奏の速さや抑揚の付け方も演奏者1人1人で異なります。だから、まずは全員が集まって「合奏」することで曲のイメージをつかみ、その後、小さなチームに分かれて「分奏」「パート練習」を行うことで、1人1人の細かい“ズレ”を解消して、演奏の精度を高めるのです。
友人いわく「“いい音楽”を作り上げる上で大切なのは、チームがやりたいことと個人がやりたいことをできるだけ一致させ、演奏者全員が同じ方向を向いて練習すること」なのだそうです。曲を楽譜通りに再現することももちろん大切ですが、楽譜に表現されない部分については、「こんな風に演奏したい」「このパートには特に力を入れたい」といった、演奏者それぞれのこだわりがあります。
そういった部分は、演奏者同士で「対話」を繰り返して、お互いのこだわりを共有します。一方、全員の曲に対するこだわりを拾い上げることは難しいので、最終的には経験・知識量が豊富な指揮者が、トップダウンで演奏のイメージを伝え、チームを統率するそうです。
こうしたオーケストラのチームワークには、私たちも学ぶべきところが多々あるはずです。社員の皆さんには、日々さまざまな仕事をしていただいていますが、皆さんはその仕事の先にある「会社がやりたいこと」のイメージをちゃんとつかめているでしょうか。一方、経営者である私、あるいは皆さんの上司は「皆さんがやりたいこと」、すなわち仕事に対するこだわりをちゃんと拾い上げられているでしょうか。お互いに足りない部分があるはずです。
大切なのは「対話の繰り返し」です。お互いが納得して“いい会社”を作っていけるよう、しっかり「練習」していきましょう。
以上(2024年9月作成)
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画像:Mariko Mitsuda