皆さんは、野球の「ストライクゾーン」がどの範囲を指すか知っていますか。簡単に言うと、ストライクゾーンは、打者が自然体でボールを打つことのできる範囲を指します。縦幅の上限は、打者の肩の上部とユニホームのズボン上部との中間点で、下限は膝頭の下部です。この上限と下限の間にあり、なおかつホームベース上にある空間が、ストライクゾーンというわけです。

つまり、ストライクゾーンの縦幅は、打者によって変わるということになります。背の高い打者であれば、ストライクゾーンは広くなるのです。

私はビジネスにおいてもストライクゾーンがあると思っています。対応できる範囲、あるいは得意分野と言い換えてもいいでしょう。

ビジネスにおけるストライクゾーンも、野球と同じように人によって範囲が異なります。野球と違うのは、無限大に広げることができるという点です。野球のストライクゾーンはルールで決められていますが、ビジネスの場合はそうではありません。自分自身の努力や心掛け次第で、いくらでも広げることができるというのが私の考えです。

しかし、最近の皆さんを見ていると、自らストライクゾーンを狭めてしまっているように思えます。これほどもったいないことはありません。

皆さんは、仕事の進め方一つにしても、前例踏襲にこだわり、従来とは違うやり方を「厄介だ」「面倒だ」と頭から否定してはいないでしょうか。それではストライクゾーンは狭いままです。決まった軌道のボールは打てるでしょうが、応用が利かず、できることも増えていきません。

皆さんには、ビジネスにおけるストライクゾーンを広げる努力をしてほしいのですが、そのためには、柔軟性と行動力が必要です。

例えば、お客様や私、上司などから、従来とは違うことをお願いされたときでも、「まずは、やってみる」ようにしてください。前例があるかどうかは全く関係ありません。「できない」と決めてかからず、できる方法を柔軟に考えることです。

ただ、今の知識やノウハウでは足りないことも出てくるはずです。その際には、その分野に詳しい人を探し、連絡を取り、実際に話を聞いてみてください。関連する勉強会に参加してもよいでしょう。こうして行動を起こすことで、ストライクゾーンは広がっていくのです。

また、社内外のさまざまな人と交流していると、「この人はストライクゾーンが広い」と思える人にも出会えます。そうした人には、どのようにして広げているのか、日ごろの行動を聞いて参考にするのもよいでしょう。

どのようなボールが来ても対応できるストライクゾーンの広さは、皆さんの武器になります。今日からぜひ、広げる努力をしてください。

以上(2021年11月)

op16917
画像:Mariko Mitsuda

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