私が主任として制作現場のマネジメントを任されて、半年余りがたちました。そこで、この半年余りを振り返って、自分がやってしまった失敗と、失敗から得た私なりの改善点をお話しします。皆さんも参考にしてください。
まず学んだのは、相手の立場を理解して、尊重することの大切さです。主任だから何でも指示を出せば従ってもらえるわけではなく、相手の立場を踏まえてお願いすべきだと感じました。
具体的には、部長から、1週間以内にサンプルを3パターン提出するように言われたときのことです。取引先からどうしても急いでほしいと頼まれたとのことでしたので、私は現場の人に、最優先でサンプルを作ってもらうようにお願いをしました。ところが、現場では作業が立て込んでいて、「1週間でサンプルを3パターン作るのは難しい」との苦情が出たのです。
私は、現場の人の気持ちを考えず、取引先からの特別な依頼だということを金科玉条(きんかぎょくじょう)にして、一方的に仕事を押し付けようとしていた自分を、とても恥ずかしく思いました。現場でサンプル作りをしていた頃の私でしたら、部長に言われた時点で、この業務が難しいことを伝え、もう少し時間的な猶予をいただけないか相談していたはずです。
次に学んだのは、マネジメントの仕事は、ただ単に上司と現場の声を伝えるだけでなく、自分で考えて調整を行うことが重要だということです。
先ほどの話の続きですが、現場の人の声を踏まえて、部長に納期を1週間遅らせてもらうようにお願いをしたのですが、部長から、「なぜ1週間も必要なのか」を聞かれたときに、私は明確な根拠を示すことができませんでした。ただ「1週間はほしい」という現場の声を伝えていただけだったのです。
その後、課長のアドバイスもあって、改めて現場の作業日程を確認したところ、自分が関わっていない別の業務の納期に若干の余裕があることが分かりました。また、営業担当の同僚に相談したところ、他の取引先の案件の納期を少し遅らせてもらえることになりました。このため、結果的に3パターンのサンプルは、2日の遅れだけで納品することができました。
今お話しした一件から、私は、マネジメントに必要なことは“調整力”なのだと肝に銘じました。調整するためには、常に全体を見ておき、たとえ自分が関わっていない業務であっても、現場の全ての工程と、社内での優先事項という両方の状況を把握しておくことが大事なのだと感じました。そして、ただ状況を把握するだけでなく、その状況にいる人たちが、どんな思いを持っているのかも理解する必要があるのだと思いました。
これらを全て一気にできるようになるのは難しいですが、一歩一歩、前に進んでいきたいと思いますので、これからもご指導、ご鞭撻(べんたつ)のほど、よろしくお願い致します。
以上(2022年11月)
pj17127
画像:Mariko Mitsuda