先日、私はお客様からの要望で、知り合いの会社のサービスを幾つか紹介することになり、お客様と引き合わせる場を設けました。おかげさまでお客様はどのサービスにも、興味を持ってくれました。紹介した会社は、いずれもお世話になっているところなので、今回の件を通じて、当社が少しでも役に立てたことをうれしく思います。
同時に、実は残念に感じていることもあります。お客様には全部で5社を紹介しましたが、紹介したことに対するお礼の連絡は、そのうちの2社からしか来なかったのです。
誤解しないでいただきたいのですが、私は、お礼を言ってほしくて紹介したわけではありません。また、「お礼を言ってもらって当然」などと思っているわけでもありません。しかし、もし私が逆の立場だったら、間違いなく、その日のうちにこちらからお礼をお伝えするでしょう。
会社同士を引き合わせるのは、とても神経を使います。単にスケジュール調整だけをすればよいわけではありません。万が一、何かあれば、紹介する側が責任を取る場面も出てきます。また、どのような会社や人を紹介するかによって、紹介する側の評価は、プラスにもなることもあれば、逆にマイナスになることもあります。
そうした責任やリスクを負ってなお、「会社同士を引き合わせる」ということを選択し骨を折ってくれた人に、感謝の気持ちをお伝えするのは当たり前。いわば「最低限の礼儀」だと思うのです。
私は今回の件を通じて、自分自身も気を付けなければならないと感じています。「紹介してもらう」ということに限らず、何かをしてもらったら、必ず、こちらのほうから先にお礼を伝えなければなりません。こうしたことをおろそかにしないよう、改めて自分に言い聞かせています。
皆さんはどうですか。社内外の関係者と関わり合って仕事を進める中で、相手に対して感謝の気持ちを、しっかりと伝えているでしょうか。
元東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏は、著書やセミナーで、よく、「礼儀正しさは最大の攻撃力である」と言っています。「挨拶をする、脱いだ靴をそろえる、お礼やおわびをこちらのほうから伝えるなどの礼儀は基本的なことだが、意外とできないビジネスパーソンが少なくない。そのため、礼儀正しさがしっかりしていれば、それだけでリーダーにさえなれる」というのがその趣旨です。この考えに、私は半分だけ共感しています。
私は、礼儀正しさは、人として、できて当たり前だと思います。ただし、「どうすれば礼儀正しいか」は人によって違うとも思っています。こちら側は礼儀正しくしているつもりでも、相手から見たら、そうではないかもしれません。だからこそ、何事も、「丁寧に進めること」が重要になってくるのです。皆さん、ぜひ、メールの書き方一つ、連絡の取り方一つでも、「心を込めて丁寧に」進めるようにしてください。丁寧さこそ、何にも勝る攻撃力になると私は考えます。
以上(2021年11月)
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画像:Mariko Mitsuda