昨今、SDGsという言葉を多く耳にするようになりました。利益至上主義だった私の若かった頃と比べると、たとえ民間の会社であっても、自社だけのことを考えるのではなく、共生社会を目指すべきだという風潮に変わってきています。この機会に、今まで私がずっと心に掲げてきた人生の目標をお伝えしたいと思います。それは、「ビジネスパーソンとしてだけでなく、一人の人間としても一流になる」ことです。

私が目指している一流の人間とは、「仕事だけがデキる人間」ではなく、「仕事もデキる人間」です。仕事の結果を出すことは重要ですが、それ以前に、まず「人として正しいと思うことを優先できる人間」こそ、一流だと思います。分かりやすく極端な例えで言えば、大事な仕事の待ち合わせに向かう電車の中で、倒れている人を介助できるか、会社の不正を発見したら、それを正すことができるか、といったことがあるでしょう。

人として一流を目指すために、私は日ごろから、自分が正しいと思う生き方ができているか顧みるようにしています。具体的には、他人にも自分にも嘘をついていないか、誰にでも誠実であるか、私利私欲だけに走っていないか、自分の身近な人たちである家族や同僚を大切にできているか、世の中の役に立てているか、自分たちの今の利便性だけを考えて、後世にその「つけ」を回していないか、次世代の人たちに胸を張ってバトンタッチできるか、といったことです。

私は、他人を評価する際にも、人として一流であるかどうかを基準にしてきました。どんなに偉い肩書を持っていて、大きなお金を動かせる人であっても、人間的に尊敬できないような人とは深いお付き合いをしてきませんでした。逆に、どのような職業、どのような年齢の人であっても、人として尊敬できるのであれば、親しくお付き合いし、応援できる部分は応援してきました。

このような評価の方法は、結果として会社経営の面でもプラスになったと思います。一流の人とのお付き合いの中からビジネスのやり方を学び、役に立ったことが少なからずありました。また、人として尊敬できない人がトップにいる会社と、取引をしていなくて助かったというケースがしばしばありました。

私自身は、まだまだ人として一流になれているとは思っていません。常に自らを顧みて、一流を目指し続けていく必要があると思っています。そして皆さんにも、人として一流になることを目指してほしいと願っています。自分の価値観をビジネスパーソンという枠にはめず、一人の人間として正しいと思うことを優先する生き方をしてください。

皆さんと一緒に、ぜひ「この会社には一流の人間がそろっています」と、胸を張って言える会社を目指しましょう。そのような会社こそ、社会との共生が重視される時代にふさわしいのだと思います。

以上(2022年1月)

pj17087
画像:Mariko Mitsuda

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