新しい年に入り、皆さんは気持ちも新たに仕事をしていることでしょう。これから先、皆さんがさらに成長していくために、私から一つ課題を出します。それは、皆さんが「応援される人」になることです。今でも家族や友人、同僚は皆さんを応援しているでしょう。私が求めるのは、社外の人、それも自分よりも年上や年下の人から応援される人になるということです。なぜなら、応援される人には、それだけの魅力があり、それこそがビジネスパーソンとして成長するための大切な要素だといえるからです。
私には、50歳になってから畑違いの部門に異動になった知人がいます。そこはテクノロジーを使った新規事業の開発部門で、それまで彼が所属していた管理部門とは業務の性質が全く違います。右も左も分からずに困り果てた彼は、30歳近くも年が離れた若手に頭を下げて教えを請い、一生懸命に勉強しました。
それだけではなく、誰よりも積極的に社内外の人と交流し、勉強会にも参加しました。そうした活動を継続すると、知識が少しずつ蓄えられていき、人脈も広がっていきます。そして、ついに合同プロジェクトを立ち上げ、成功させることができたのです。異動から7年目の出来事でした。私が成功の要因を尋ねると、彼は笑顔で言いました。「社内外を問わず、たくさんの人が私に力を貸してくれたからこそ成功することができた。私一人では何もできなかった。周囲に恵まれたのだ」
皆さんは、どのような人なら応援したいと思うでしょうか。私は、応援される人には4つの要素があると考えています。
1つ目は、自分が成し遂げるべきことを知り、実際にそれを成し遂げるという強い信念を持っていることです。私の知人は畑違いの部門に異動になっても“腐る”ことはありませんでした。新規事業を立ち上げることを目標とし、それを成し遂げるために困難に立ち向かったのです。
2つ目は、継続した努力ができることです。彼は新規事業を成功させるまでに、7年もの間、諦めずに取り組み続けました。これは「私はこの仕事をしている」と胸を張って他人に言えるレベルであり、その人を象徴する魅力となります。
3つ目は、年齢に関係なく、他人の言葉に素直に耳を傾けられる柔軟さです。50歳ともなればそれなりに経験があるものですが、彼はそれに固執せず、若手の意見も十分に聞きました。
4つ目は、成功してもおごらず、他人への感謝の気持ちを忘れないことです。一番苦労したのは彼でしょう。しかし彼は、つらいときでも笑顔を絶やさず感謝の気持ちを伝え、むしろ率先して周囲の人を応援していたのです。
どうでしょう。応援される人に共通する4つの要素のうち、皆さんは幾つ当てはまりましたか。応援される立場になれば、大きな力と可能性を手に入れることができます。皆さん、今日から応援される人を目指して活動してください。
以上(2022年1月)
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画像:Mariko Mitsuda