おはようございます。今日は2024年7月24日から8月11日にかけてパリで開催された、あのスポーツの祭典についてお話しします。この大会で、日本は金メダル20個を含む計45個のメダルを獲得しました。定番の柔道や体操、今大会から新たに競技に加わったブレイキンなど、今回も見どころがたくさんありましたが、私の中で特に強く印象に残ったのは、女子やり投げの北口榛花(きたぐちはるか)選手です。
やり投げはその名の通り、片手に持ったやりを遠くへ投げてその飛距離を競う、投擲(とうてき)種目の1つです。テレビで見ていると一見単純な競技に見えますが、クロスステップと呼ばれる横向きの動きで助走をつけ、速度をキープしたまま投擲に入るという、とても難しい動作を要求されます。それにスピードやバネはもちろん、最適な角度でやりを投げなければ飛距離は出ませんから、投擲にも極めて繊細な技術が求められるのです。
そんなやり投げですが、北口選手は、8月10日に行われた決勝で、1投目から65メートル80センチという圧倒的な記録を見せつけ、金メダルを勝ち取りました。しかも、この65メートル80センチという記録は、なんと北口選手の今季自己ベスト。難易度の高い競技にもかかわらず、大会の決勝という大舞台で、1投目にして自身の最高のパフォーマンスを引き出す勝負強さには、ただただ驚かされました。
一方、競技終了後にインタビューを受けた北口選手の言葉はとても謙虚なものでした。彼女は、金メダルを手にした心境を聞かれ、こう答えたのです。「夢の中では、70メートル投げられていたので、ちょっと悔しい部分もある。大事な試合で勝ち続けることは簡単じゃない。それを続けられるように頑張っていきたい。今日出なかった記録も、夢じゃなくて次はかなえられるように」と。
ここで、皆さんに考えてほしいのは「はたして北口選手は、金メダルを取るためにやりを投げていたのか」ということです。もちろん、試合に出る以上、優勝は意識していたでしょうが、北口選手の言葉を聞くと、彼女はやり投げにおいて、「他人の前に自分に勝つ」「自分の限界を超える」ということを強く意識しているように感じられます。練習でも本番でも、変わらずその思いで臨んでいるからこそ、大舞台の1投目でも全力が出せるし、その思いの強さが突き抜けているからこそ、常に先を見据えて努力することができるのではないでしょうか。彼女にとって金メダルはゴールではなく、1つの通過点なのかもしれません。
私たちのビジネスも同じです。売上や利益、業界シェア、会社が掲げる目標はさまざまありますが、それらはあくまで通過点です。私たちが会社を通じて実現したい理想、そのために「もっと成長したい」「限界を超えたい」と思い続けることが大切です。全てはその思いの積み重ね。結果は後からついてきます。
以上(2024年9月作成)
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画像:Mariko Mitsuda