私が通うクリーニング店には、2通りの店員がいます。白いシャツをクリーニングに出すことが多い私に、「シャツ1枚につきプラス15円で襟をより白く仕上げるサービスがおすすめです。いかがですか」と提案してくれる店員と、そうした提案を全くしてくれない店員です。

前者の場合、白いシャツを着る機会が多い私は喜んでそのサービスを利用します。後者の場合、仕方なく私のほうからそのサービスをお願いすることになります。するとその店員は、「1枚プラス15円かかってしまいますが、よいですか」と聞いてきます。まるで、私に対して悪いことをしているかのように。そう聞かれた私は、後者の店員の「営業力の低さ」をもどかしく思います。同時に、我が社の社員は、前者の「サービスを自ら前向きに提案できる店員」のようにあってほしいと願うのです。実際のところ、皆さんはどちらの店員に近いのでしょうか?

日ごろから皆さんに言っている通り、お客様に提案するのは悪いことではありません。むしろ、お客様は提案を待っています。状況にもよりますが、商品やサービスを提案してくれる皆さんのことを、お客様は、「自分のことを考えてくれているのだな」と好意的に感じるものです。

皆さんがお客様に提案できないのは、「何を提案すべきか分からない」「断られたりしたくない」と思うからかもしれません。中には、営業しようという意識を持てていない人もいるでしょう。

こうした状況を変え、営業力を高めてお客様に自ら提案できるようになるために、今日から次の3つのことを実践してください。

まず1つ目は、数字に敏感になることです。皆さんは今期の売上目標が分かりますか? 会社の売上と営業利益を知っていますか? 一番大きな売上のお客様とその金額をすぐに答えられますか? こうした数字は営業の基本です。売上や利益といった数字に敏感になることで、営業しようという意識も芽生えてくるでしょう。

2つ目は、我が社の商品やサービスをよく知ることです。特に、商品やサービスの「おすすめポイント」は必ず押さえておきましょう。コストや納期を含め、お客様にどのような価値を提供できるのかを知っていれば、「何を提案すべきか分からない」ということはなくなるはずです。

そして3つ目は、お客様のことをよく知ることです。それには、接する機会を増やすことが大切です。私が皆さんに、少なくとも月に1度はお客様と話をするように言っているのはそのためです。今どきはSNSを使っているお客様も多いので、それをチェックするのもよいでしょう。お客様の投稿、どのようなセミナーやイベントに顔を出しているかを見れば、お客様が今、何に関心を持っているかが分かるからです。

この3つのことを積み重ね、ぜひ一度、営業で成功体験をしてください。それこそが、皆さんの営業力の大きな肥やしになるでしょう。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

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