新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活環境は大きな変化を余儀なくされました。ビジネスにフォーカスした場合、こうした大きな変化と直面したときの選択肢は2つしかありません。

1つは変化によって生じる新たなスペースを積極的に狙う「攻め」、もう1つは変化が収束するのをじっと待つ「守り」です。

どちらを選択するか、意見は分かれます。実際、経営者仲間の話を聞いてみると、ある経営者は「新型コロナウイルス感染症の混乱が落ち着いても、ビジネスの在り方が元に戻ることはない。ますます変わっていく。そこにチャンスがある」と言っていました。一方、別の経営者は「新型コロナウイルス感染症の混乱が落ち着いたら、多くは元の状態に戻り、マネジメントが求められるだろう。そこにチャンスがある」と言っていました。

皆さんは、攻めと守り、どちらを選択するべきだと考えていますか?

攻めと守りのような正反対のいずれかを選択するのは、とても難しく、怖いものです。そのため、しばしば「どちらかが正解というわけではない。あくまでも『考え方』の違いである」という結論に落ち着きます。考え方次第と言えば、客観性があって聞こえがいいですし、攻めを主張する人とも、守りを主張する人とも衝突しなくてすみます。しかし、今、そのような曖昧な判断をしているような企業は、間違いなく勝ち残っていくことができません。

それは、私たちが変化を余儀なくされている状態にあるからです。通常なら、変化の激流を避けることもできるでしょう。何もせずに、じっとしていればいいのです。それは、守りとは違います。変化を受け入れられず、未来を想像することなく、激流が収まるまでやり過ごしているだけの状態です。これでも一時はしのげるでしょう。

しかし、そうしている間に周りの多くの人たちは、自ら渦中に飛び込んでいます。「渦中に飛び込む」とは、変化の当事者になることです。激流を避けるのではなく、むしろ激流に乗って進もうとするわけです。先ほど紹介した経営者たちは、100人を超える人から話を聞いて情報を集めています。その情報をもとに未来を【想像】し、針路を決め、自分たちを信じて進んでいるのです。

渦中に入ってしまえば、ある程度の開き直りが生まれ、外から見ているときほどの恐怖を感じなくなります。そこで改めて周囲を見渡すと、多くのチャンスとピンチがあることにも気付きます。また、厳しい環境に身を置くような苦行を組織で体験すれば、得られるものは非常に大きいです。渦中から抜け出した企業は強いものです。

私たちは渦中の人となります。やるか、やらないか、選択の余地はありません。大切なのは、変われるか、変われないかです。これまで培ってきた価値観を自ら覆すのは勇気がいります。しかし、その勇気を持てた企業だけが勝ち残ることができるのです。

以上(2020年7月)

pj17012
画像:Mariko Mitsuda

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