皆さん、おはようございます。早いもので2020年度も間もなく終わりを迎えます。今年度はコロナ禍の影響もあり、仕事でもプライベートでも「耐え忍ぶ」場面が多かったかもしれません。我が社は既に反転攻勢に出ていますが、来る2021年度、皆さんにはさらに攻めの姿勢に転じ、困難に「挑戦する」一年にしてほしいと思います。そこで、今日は挑戦をテーマにした話をします。
皆さんは、登山家の植村直己(うえむらなおみ)さんをご存じでしょうか。1970年に日本人で初めて世界最高峰のエベレスト登頂に成功し、さらに同年、北米大陸のマッキンリー登頂を成し遂げて、世界初の五大陸最高峰登頂者となった人です。日本列島3000キロを徒歩で縦断したり、北極圏1万2000キロを犬ゾリで完走したりと、登山以外にも数々の冒険に挑戦されました。こうした偉業だけを見ると、恐れを知らない人に思えるかもしれませんが、実は植村さんには、人一倍臆病な上に、高所恐怖症という意外な一面がありました。
では、こうしたハンディを持ちながら、なぜ植村さんは数々の偉業を成し遂げることができたのでしょうか。私は彼の自伝を読んで、1つ大きな理由があると感じました。それは、植村さんが「今しかない」という感覚を非常に大事にしていたことです。植村さんは大学4年生のとき、友人がアラスカの山で日本では見られない氷河を見てきた話を聞き、「外国の山に登りたい」という夢への情熱を燃やします。
就職してから渡航するという選択肢もあったのでしょうが、植村さんは「今、山に登ることが幸せになる道だ」と信じて疑わず、就職そっちのけでヨーロッパのアルプスに渡ります。そして、生まれて初めて氷河を目の当たりにした植村さんは、その美しさに魅入られ、登山家としての人生を本格的にスタートさせます。
登山家としての活動を本格的に開始した後も、「今しかない」を大事にする姿勢は変わりませんでした。エベレストの登山隊に推薦されたときにも、「このチャンスを逃してはならない」と二つ返事でこれを引き受けています。彼の自伝の中では、さまざまな局面で「チャンス」という言葉が登場しているのです。
さて、皆さんの中に、仕事あるいはプライベートで成し遂げたい夢や目標がありながら、「今は他のことが忙しいから」「まだタイミングじゃないから」と、それを先延ばしにしている人はいませんか? 夢を抱くことは誰にでもできます。しかし、その夢をかなえるチャンスは、いつまでも皆さんを待ってくれません。タイミングを逸して他の人に先を越されたり、コロナ禍のように予想できない事態に見舞われて、チャンスを逃したりすることは少なくありません。
夢は無限に広がりますが、チャンスは有限です。先延ばし癖が付いている人は、「今しかない」を大事にして、挑戦する2021年度にしてください。
以上(2021年2月)
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画像:Mariko Mitsuda