私はあまり料理をしない人間でしたが、ここ2カ月ほど、自宅で料理をしています。気分転換に始めてみたところ、料理は仕事に通じることが多いと感じ、今では自分を磨くために続けています。けさは、料理をすることで得た、仕事に役立つ気付きについてお話しします。
私が料理をして気付いたのは、「頭を使うこと」と、「食べる人、つまり顧客に気を使うこと」が重要だということです。もちろん、そうしなくても料理はできますが、頭や気を使うことで料理に掛ける費用や時間を削減でき、食べた人にとても喜んでもらえます。つまり、自分の努力や工夫次第でパフォーマンスが大きく変わるのです。
料理はメニューを考えることから始まります。いわば「生産計画の立案」です。食べる人のことを考え、栄養バランスや、飽きないための工夫が必要です。1週間分ほどの献立を考えておくと、買い物に行く回数が削減できます。
買い物、つまり「仕入れ」で重要なのは、コストと品質の見定めです。チラシなど収集した情報を基に買う店や食材を決めますが、経験と実績があれば、食材の鮮度や価格に応じてメニューを決められます。作れるメニューの数、つまり「自社商品のバリエーション」が大切です。買い物をする前に、冷蔵庫内の食材と消費期限を把握しておくことも欠かせません。これは「在庫管理」です。食材は安く購入することも大切ですが、全て使い切らないと、割高になってしまいます。
実際に料理をするときに重要なのは、「時間管理や工程管理」です。食事の開始時間から逆算し、温かいうちに食べてもらえるよう、作業の時間を考慮して手順を決めます。慣れてくれば、鍋でお湯を沸かしながら食材をカットし、レンジで食材を温めながら使った容器を洗うなど、複数の作業を同時に行うことで時間を短縮できます。「5S」も重要で、使う頻度に応じて調味料や調理器具の場所を決めておくと効率が上がります。
料理で大事なのは味ですが、食べる人の気持ちを考えると、皿のデザインや盛り付け方、雰囲気づくりなど、ある意味「プレゼン」も大切だと分かりました。
そして、「感謝の気持ちを伝えること」の重要さも実感しました。「おいしい」の一言は、モチベーションに相当影響します。私は今までどこか、「会社員は仕事をするのが当たり前」と考えており、社内で仕事を手伝ってもらったときの感謝や、仕事を遂行した後輩へのねぎらいの言葉を掛けるのがおろそかになっていたと気付きました。
最後は皿洗いです。皿洗いの難敵は油汚れです。下げ膳の際は油で汚れた皿を重ねない、油汚れの皿は最後に洗う、油の多い料理を保存するにはプラスチックでなくガラスの容器にするなど、「作業効率化のための工夫」の重要さも学びました。
日常の中に仕事に役立つ気付きがあることを、特に若手の皆さんには参考にしていただくと、毎日がとても新鮮になると思います。
以上(2022年4月)
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画像:Mariko Mitsuda