もうすぐ6月になります。今年も半ばに差し掛かろうとしていますが、皆さんは「もう6月になってしまった」と感じますか、それとも「まだ6月か」と感じますか。

時間の早さの感じ方については、「同じことを繰り返しているとマンネリ化して刺激がなく、時間がたつのが速い」、逆に「新しいことにチャレンジしていると、これまでにない刺激を受けるので、時間がたつのが遅い」などといわれます。

私の場合、昔は時間がたつのがとても速く、常に時間に追われている感覚でした。ところが、今は全く違い、時間がたつのが速いと感じなくなりました。昨年から新規事業にチャレンジしているので、新しい刺激を受けているということもあるのでしょう。しかし、それだけでは説明がつきません。

私は、時間に追われていた昔も、常に新しいことにチャレンジしていました。逆に、時間がたつのが速いと感じなくなった今も、昔と同じルーティンワークを継続しています。つまり、やっていることが古いか新しいかというだけで、時間経過の速さの感じ方が変わるわけではないのです。

私は、本質は【時間の密度】であると考えます。私が時間の密度を意識するきっかけになった言葉を紹介します。江戸時代末期の武士である高橋泥舟(たかはしでいしゅう)の言葉が転じたものだそうです。

  • 人の道と降る雪は、つもりつもりて、道を誤る

「最初は小さな出来心でも、積み重なれば取り返しのつかない過ちになる。だから油断するな」という意味です。ただ、私はこの言葉を「正しく積み重ねていけば、道は開ける」という、本来とは逆の意味にも取れると考えています。日々の取り組みは一粒の雪のようにはかないものですが、積もり積もってその人の生き様になります。そうなってから変えることは難しいため、日々、正しく積み重ねていくしかありません。

そこで考えるのが、時間の密度です。退屈なルーティンワークでも、これまでとは違う見方をするようになりました。ダラダラとやったら時間の密度が低くなるので、素早くやるか、改善するかを本気で考え、実践するようになりました。つまり、自ら時間の密度を高くするよう、仕事を一つひとつ積み重ねていくことにしたのです。

また、私は、新規事業を通じてベンチャーやスタートアップと呼ばれる未知の世界に足を踏み入れました。これまでと全く違う世界は刺激的ですが、没頭すると立ち位置を見失ってしまいます。ですから、冷静にビジネスのポジションを確認する機会を多く設けるようにしました。これも、正しい積み重ねの一つと信じています。

ゴールはまだ先ですが、確実に進んでいると実感できるからこそ、さらに時間を大切にし、集中するようになります。この好循環のおかげで私の時間の密度は高まっています。ぜひ皆さんも、時間の密度について考えてみてください。

以上(2020年5月)

pj17006
画像:Mariko Mitsuda

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