皆さんには、何歳になるまでにこれを成し遂げたいという「人生計画」はありますか? まだ漠然としか考えていない人もいるでしょうが、今日は、明確な目標があって自分なりの人生計画を立てているという人にこそ、聞いてほしい話があります。明治から昭和に活躍した林学博士、本多静六(ほんだせいろく)氏に関する話です。
本多氏は、明治神宮の森や日比谷公園など、数百の公園の設計を手掛け、「日本の公園の父」と呼ばれました。また、40代で、現在の価値にして100億円余りを稼いだ「投資家」であり、生涯で376冊もの本を書いた「文筆家」でもありました。そんな本多氏は、25歳で東京帝国大学農科大学(現在の東京大学農学部)の助教授になった際、次のような人生計画を立てています。
40歳までの青年期は、バカと笑われようが、ケチとののしられようが、懸命に働き、貯蓄にいそしみ、生活が安定する基盤を築くこと。
60歳までの壮年期は、大学教授として学問に専念し、国や社会のために働き抜くこと。
60歳を超えて高年期になったら、国や社会、先人に支援してもらった恩に報いるため、名声や利益を求めず、世のため人のために尽くすこと。
70歳以上に生き延びることができたら、住まいを温泉郷に移し、晴耕雨読を楽しむこと。
そして、85歳まで生きた本多氏は、晩年に書いた自著で、この人生計画を「断固死守の決意で行い、予定以上の成果を収めた」と総括しています。
本多氏がさまざまな分野で成功したのは、こうした自分の立てた人生計画に真剣に向き合った結果だといえます。本多氏は幸福な人生を送るためには、「最大の努力をもってあがない得る最大可能の計画を立てることが望ましい」と言っています。つまり、計画達成のために限界まで努力することが幸せにつながるということです。
ここで、冒頭の自分なりの人生計画を立てているという人たちに質問します。皆さんの人生計画は、本当に「最大可能の計画」でしょうか。無難な達成しやすい目標になっているとしたら、それを成し遂げたとき、皆さんは本当に幸福な人生を送れるのでしょうか。ぜひ考えてみてください。
これは、人生計画だけでなく、会社の計画にも当てはまることです。社内ではさまざまなプロジェクトが進んでいますが、無難な達成しやすい目標では、達成したとしても成果は限られますし、そもそもプロジェクトに参加する皆さんは、達成感を抱きにくいのではないでしょうか。皆さんがご存じの通り、当社の経営計画は、あえて挑戦的な数値で予算を設定しています。経営陣が高い目標を掲げるのは、会社の業績のためだけではありません。もう二歩頑張れば届く予算を設定するから、前年より頑張らなければならず、新しい発想やイノベーションを起こすことができるのです。
努力して目標が達成した先にこそ、成長と喜びがあります。ぜひ人生も仕事も高い目標を持って、充実した1年にしてください。
以上(2022年12月)
pj17131
画像:Mariko Mitsuda