皆さんは何かをやり始めて三日坊主で終わったことはありませんか? 正直に申し上げれば、私もあります。そのときは「やる気」ばかりが空回りしてしまったと後悔したものです。
せっかく何かを始めても、途中で投げ出してしまうのはもったいないことです。そこで、「やる気」に頼らずに努力を続けられるような仕組みを作ってみてはいかがでしょう。
例えば、私の友人でこんな人がいます。その友人は、「健康のために自宅の最寄り駅から1つ離れた駅を使うようにした」と言います。朝は少し早めに自宅を出て、1駅分歩いて電車に乗り、帰宅するときは1つ手前の駅で電車を降りて1駅分歩いて家に着くという具合です。ところが、彼はこれを始めて2週間ほどで挫折しそうになりました。最初の1週間は「健康のため」というモチベーションが高く、また、普段と違った道を通るので新鮮な気持ちで歩けたそうです。しかし、翌週に入って残業や雨で歩けない日が3日ほど続き、「やる気を失ってしまった」そうです。
ここまでならよくある話です。しかし、彼はここで終わらず、再度歩き始めました。以前と違うのは、「やる気だけでは長続きしないから、通勤定期の区間を1駅短く買った」ということです。
彼は「やる気」だけではものごとを継続できないことを知り、思い切って「仕組み」を変えたわけです。帰宅が遅くなった日や雨の日などには1駅分の料金を払って最寄り駅を使うので、さほど苦にはならないそうです。
やる気だけでは続かないのは、仕事でも同じです。例えば、新しい仕事を担当したばかりのときなどは、「さあやるぞ!」とやる気にあふれているものです。しかし、その仕事もやり続けていると、慣れたり、飽きたりして、だんだんと「やる気」が薄れていきます。そして、やる気を取り戻せないまま、仕事がおざなりになってしまっては、仕事の効率は下がる一方です。
このようなことを避けるためには、やる気に頼らずに継続するための仕組みを作り上げることです。例えば、「その日の仕事は1カ所にまとめて置いておき、終わるまで帰らない」、そして「1日の仕事が増えすぎないように、全体の予定から逆算して週末に翌1週間分のスケジュールを必ず作る」といった具合に、仕事の予定を立てるための自分なりの仕組みを作ってしまうのです。そうすれば、仕組みに応じたスケジュールで動くことができるようになり、やる気で成果が左右されることは少なくなるでしょう。
もちろん、常にやる気に満ちて仕事に取り組んでいる姿が理想です。けれども、そのやる気は皆さんが成果を上げているからこそ持続するものです。仕組みを上手に作って、成果を残すことができれば、皆さんのやる気の維持にもつながることでしょう。そうして、良い循環を作っていけるような仕事をしていきましょう。
以上(2022年9月)
op16556
画像:Mariko Mitsuda