今わが社では、私を含む全社員のスケジュールがイントラネットに登録されていて、誰でもすぐに確認することができます。こうしたスケジュール管理を始めて数年、ついに私が待ち望んできた行動をしてくれる社員が出たので、皆さんにお伝えします。

数カ月前から、私はわが社にとって非常に重要なクライアントとの会談を継続しています。イントラネットを見れば誰にでも分かるのですが、先日、私がその会談から戻ってくるなり、「どのような話だったのですか? とても気になるので聞かせてください」と質問してくる社員がいたのです。その社員は、私に直接話を聞くことに緊張していました。また、状況をよく知らないためどう質問してよいのか分からず、ストレートな言葉をぶつけてきたのでしょう。

私は質問してきた社員を高く評価しています。重要クライアントの動きは私たちの仕事に大きな影響を与えるわけですから、その動向が気になって当然です。逆に、そこにすら関心が持てないような社員は、周囲で何が起きようと私や上司が指示するままに動くということなのでしょうか。「目先の仕事が忙しい」「自分はまだ重要事項を知るレベルではない」なんて、情けないことを言わないでもらいたいのです。重要クライアントとトラブルになれば、皆さんの目先の仕事は一瞬でなくなります。そんな重要な情報だからこそ、皆さんは自主的に知るべきだと思います。

私は、質問してきた社員に重要クライアントとの会談の内容を事細かに説明しました。2人だけで30分くらい話をしたと思います。会談の内容はもちろんですが、その他にも私の交渉シナリオ、先方のキーマンとどのように信頼関係を築いたか、実はこの会談に至る1年前から関係者を少しずつ巻き込んで伏線を敷いていたことなど、とにかく私の“頭の中”をできるだけ伝えました。その社員の質問にも全て答えました。最初はかなり緊張していた様子でしたが、最後は身を乗り出して質問してきたのが印象的でした。

さて皆さんは覚えているでしょうか? この重要クライアントと大きな会談を持つことになるであろうことを、私は半年前から繰り返し伝えてきています。「情報を出してほしい」と皆さんは言いますが、その受け皿がなければ意味がないような気がします。私に質問してきた社員は、自らの行動によって情報を飛躍的にアップデートさせ、日々の自分の行動にリンクさせたのです。

最後に、その社員の背中を押した上司がいることをお伝えします。当初、その社員は自分の上司に重要クライアントについて質問したそうですが、上司は「自分が話すより、社長から直接聞いたほうがより生の情報が得られる。私も何度も社長に質問しているが、きちんと答えてくれる」と言ってくれたそうです。私には皆さんの質問に答える義務があります。このことを忘れないでください。

以上(2020年4月)

pj17001
画像:Mariko Mitsuda

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