【ポイント】

  • 「カスハラをしている」という自覚のないまま、つい横柄な態度を取ってしまう人がいる
  • 相手が取引先の場合、自分の言動一つで会社の評判が傾くこともある
  • 相手への思いやりと、「これを言ってしまったらどうなるか」という危機意識が大切

今日は「カスハラ」をテーマにお話しします。皆さんもご存じですよね。正式名称は「カスタマーハラスメント」、客がお店の店員などに対し、暴言を吐いたり土下座を迫ったりといった、悪質な嫌がらせをすることをいいます。カスハラは今や社会問題、客から嫌がらせを受け、精神を病んでしまう人も多いと聞きます。もしも社員である皆さんが、誰かからカスハラを受けようものなら、会社は全力で皆さんを守ります。ただ、今日考えていただきたいのは、それとは別の話。皆さんが「客」として、知らず知らずのうちにカスハラをしていないか、という問題です。

このように言うと、皆さんの多くは「自分がカスハラなんてするわけがない!」と憤慨することでしょう。でも、よく考えてみてください。例えば、「仕事帰りに疲れていて、たまたま寄ったコンビニの定員に、ついぶっきらぼうな態度を取ってしまった」「飲食店で注文が通っていなくて、つい舌打ちをしてしまった」、このような経験はないでしょうか? 誰しも1つぐらいは思い当たるものがあるはずです。もちろん、こうした行為が即カスハラとして認定されるわけではありませんが、私が皆さんに伝えたいのは「油断をするな」ということです。

仮に皆さんが、コンビニや飲食店の店員でなく、取引先の窓口担当者に横柄な態度を取ってしまったとしたら、どうなるでしょう? たとえ法的にはカスハラにならなくても、「あの会社の担当者に横柄な態度を取られた」という話に尾ひれが付いて、「あの会社はカスハラまがいのことをしてくる」なんて噂が広まってしまう……自分の言動一つで会社の評判が傾くことだってあるのです。

「そんな大げさな」と思うかもしれませんが、今、世の中で起きているカスハラだって、加害者の多くには「カスハラをしている」という自覚がありません。「悪気はなかった」「店員を教育してあげたつもりだった」というような言い訳、皆さんも聞いたことがあるでしょう。自分の言動というのは、自分が考えている以上に相手を傷付けているケースが多いのです。

「自覚なきカスハラ」をしてしまう人に足りないのは、相手への思いやりと、「これを言ってしまったらどうなるか」という危機意識です。油断大敵! 言動にはくれぐれもご注意を。

以上(2025年7月作成)

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画像:Mariko Mitsuda