明けましておめでとうございます。今年のえとは「丑(うし)」です。そこで、けさは、「牛も千里、馬も千里」ということわざを紹介します。
このことわざは、歩くのが遅い牛でも、走るのが速い馬でも、いずれは千里に到達するというところからきています。それが転じて、「能力の違いがあっても、努力を怠らなければ、最終的には同じ結果にたどり着くことができる」という意味で用いられています。
このように言うと、皆さんの多くは、馬のほうが牛よりも先に千里に到達することをイメージするでしょう。しかし、それは牛と馬が「整備された平坦な道」を進むという前提に立った場合の話です。どういうことか、もう少し掘り下げて説明します。
実は牛には、進む速さで劣る代わりに、馬よりも優れている点があります。それは、体のバランスです。牛は多くの種類が、中指と薬指の2本の指で地面に立っています。これに対し、馬は多くの種類が、中指1本で地面に立っています。体を支える指が多い分、牛は体のバランスを取りやすくなっています。そのため、傾斜地や坂道のように足場の悪い場所を歩く能力が、馬よりも優れているのです。
つまり、冒頭のことわざに照らして考えると、仮に牛と馬が「整備されていない足場の悪い道」を進む場合であれば、牛のほうが馬よりも先に千里に到達する可能性もあるわけです。
さて、皆さん、会社には、事業を通じてお客様や社会に対して実現したいことがあります。例えるなら、千里の道の先にあるゴールです。そして、そのゴールにたどり着くためには、さまざまな道があります。
先ほどの整備された平坦な道と、整備されていない足場の悪い道で例えるなら、前者は「すでに開拓されている分野」、後者は「まだ開拓が進んでいない分野」といえるでしょう。皆さんなら、どちらの道を進んでゴールを目指しますか?
これには正解はありません。すでに開拓されている分野を突き進むのが得意な「馬」のような人もいるでしょうし、まだ開拓が進んでいない分野で、着実に前進を重ねていく「牛」のような人もいるでしょう。自分の得意とする分野で、少しでもゴールに近づけるよう、存分に力を発揮してもらえればと思います。
ただし、忘れないでほしいことがあります。それは、「どの道を進むかを決めるのは、皆さん一人ひとりである」ということです。たとえどんな道を選んでも、自分が一度「この道で頑張りたい」と思ったのなら、その選択に責任を持ってほしいのです。千里の長い道を進んでいる限り、必ずどこかでくじけそうになることがあります。そんなとき、皆さんを支えてくれるのは、「努力を続ける」という意志です。1年間、強い意志をもって業務にまい進してください。
以上(2021年1月)
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画像:Mariko Mitsuda