ここ数カ月、私は知り合いの経営者に勧められて、「経営道場」なるものに参加しています。ここでは、受動的に学ぶのではなく、能動的にあるべき「理想の姿」を追求していきます。そして、理想の姿を実現するために足りていない部分を認識し、それを埋めるために最も効果的な取り組みを検討、実行します。
この一連の流れを繰り返す、こんなシンプルな経営道場での活動を通じて、私はとても重要な2つの気付きを得ました。今朝は、それを皆さんにお伝えします。
1つ目の気付きは、「『理想の姿』を持つ」ことの大切さです。経営道場の参加者は、向上心あふれる経営者ばかりなので、仕事についての理想の姿を熱く語ることができます。理想の姿を実現したいという思いは、日々の活力になります。
皆さんはどうですか。仕事でもプライベートでも結構です。「理想の姿」はありますか?
もしかすると、仕事について理想の姿を持つことは難しいかもしれません。私や上司の指示に従うことに慣れ過ぎていて、自由に発想することが苦手になっているかもしれないからです。
では、「皆さんに、仕事上の課題はありますか?」という質問ならどうですか。
こちらのほうが答えやすいのではないでしょうか。謙遜もあるかもしれませんが、自分の至らない部分、つまり課題を挙げるのは比較的、簡単なことでしょう。
問題は、皆さんが挙げた課題のほとんどが、改善に向かっていないと思われることです。それはなぜか。厳しい言い方かもしれませんが、課題について深く考えていないからです。この朝礼のように、課題の解決を約束するような場でなければ、「何となく、このままではいけない」と思っている程度のものについて、さも自分が思い悩んでいる重要な課題として話していないでしょうか。
ここで、経営道場で学んだ、重要な2つ目の気付きが活きてきます。それは、「自分を疑う」ことです。経営道場で私も熱く理想の姿を語りました。しかし、他の経営者から突っ込んだ質問をされると言葉に詰まってしまいました。考えているようで、実は表面的なところしか捉えていなかったのです。そこで、何度も何度も「それは本当に自分の理想なのか?」と自分に問いかけた結果、表面的な部分がそぎ落とされていき、本当の理想に近づけたのです。
理想が明確になると、今、克服しなければならない課題も分かります。課題を公式化すると、「理想-現実=課題」となります。本気で願う「理想の姿」から、正しい「現実」を引き算した結果が、今、取り組むべき本当の課題なのです。
ビジネスでは正しい課題設定が重要です。ただし、足元を見るだけでは正しい課題は見つかりません。思いつきレベルの課題でお茶を濁すのは、論外です。本当に重要な課題は、「理想の姿」を描くことで見つかるものなのです。
以上(2019年11月)
pj16981
画像:Mariko Mitsuda