もうすぐゴールデンウイークがやってきます。今日はそれにちなみ、皆さんが休暇中に利用するかもしれない飛行機にまつわる話をしましょう。
皆さんは、米国の航空会社が行った「母の日のサプライズ」を聞いたことがあるでしょうか。これは、飛行機の中で子供が泣いた人数によって、搭乗していた人が、次回以降の航空券を割引してもらえるというサービスです。子供が1人泣けば25%オフ、2人で50%オフ、4人になれば100%オフ、つまり無料になるため、周囲の人は「子供が泣けば泣くほど」喜びます。子供連れの母親が、この日ばかりは周囲の目を気にすることなく飛行機を利用できるようにするための企画でした。
母親の「子供が泣いて周囲から白い目で見られるかもしれない」という「不安」と、搭乗している人の「飛行機の中で子供が泣きわめくのが嫌だ」という「不快」の両方を解消しようとしているのが、この企画のポイントといえるでしょう。皆の満足を実現できる素晴らしい企画です。
このように、「不安」「不快」「不便」「不満」「不足」などを解消するという視点に立って、商品やサービスを考える「不のマーケティング」は、以前からさまざまなところで実践されています。
私は、当社にも、この「不のマーケティング」の考え方を取り入れようと思っています。ただし、皆さんに考えてもらいたいのは、商品やサービスについてではありません。もっと根本的な、「当社で働くことについて」です。
皆さんには、まず、日ごろ、当社で働くことについて感じる「不」を挙げてもらいたいのです。内容はどのようなものでもかまいません。
例えば、「外出が多いのに外からメールが確認できない」という「不便」を感じている人もいるでしょう。「飲食店が周りにあまりなくてランチに困る」といった「不足」を挙げてもいいのです。もっと言えば、「仕事の割り振りが偏っていて休みたいときに休めない!」「上司(部下)と話す機会が少なくて何を考えているか分からない!」という「不満」があるかもしれません。
当社は今、大きく変わろうとしています。新しいビジネスを創造すると同時に、一人ひとりの働き方を根本から見直す「働き方改革」にも本格的にチャレンジしています。さまざまな部門で世代交代も進めています。いわば、「第二創業期」を迎えているといってもいいでしょう。
私は、皆さんに、「不」のことを挙げてもらうことで、「皆さん自身が働きたいと思う会社」を新しく創っていきたいのです。挙げてもらった内容は、一つ一つ解消すべきかどうか皆さんで議論していきましょう。中には、最終的に私が判断すべきことも出てくるかもしれませんが、それは最終手段として、できるだけ皆さんで話し合って決めていくことが大切です。
皆さんの会社は、皆さんが創るものです。働いていることが誇らしく、胸を張って自慢できる会社を、一緒に創っていきましょう!
以上(2022年4月)
op16908
画像:Mariko Mitsuda