おはようございます。新型コロナウイルス感染症流行の影響で、私たちの働き方は急激な変化を余儀なくされています。当社でも在宅勤務を取り入れたことで、コミュニケーションの在り方や仕事の進め方が大きく変わりました。
ところで、働く場所や連絡方法、仕事で使うツールなどは変わりましたが、肝心の私たち自身は変わったのでしょうか?
この1カ月余り、私は、自分の存在意義について考えていました。私は、皆さんにたくさん小言を言ってきました。仕事のレベルを上げる、スムーズに進める。そのために私の小言が必要であると信じてきたからです。
ところが、在宅勤務になり、私がそれほど小言を言わなくなっても、それなりに仕事は進んでいきます。
そのときに思い出したのは、アンデルセン童話の「裸の王様」です。周囲をイエスマンの家臣で固めて他人の意見を聞かない。揚げ句に詐欺師にだまされて、ありもしない洋服を着て町を練り歩く滑稽な王様。私の小言に実際の効果はないのに、皆さんは権力を恐れて何も言えない。だとしたら、私はまさに裸の王様だと思ったのです。
かつては、裸の王様のような存在が必要だった時代もあります。仕事はできないけれど、偉そうに椅子にふんぞり返って、周囲ににらみを利かせる存在が、「組織の重し」としての役割を担っていました。
しかし、時代は変わりました。もはや単なる「組織の重し」に存在意義はなくなりました。童話に出てくる裸の王様で例えるならば、家臣がノーと言える雰囲気になり、詐欺師にだまされない知識を養わなければなりません。そして何より、自らが率先垂範することで、町民から恐れられるのでなく、尊敬されるようにならなければなりません。
現実の世界で、私がこうしたことを実践してこなかったわけではありません。自由な雰囲気を目指し、プライベートの時間を削って勉強し、自分を律してきました。しかし、それは十分ではなかったのです。不謹慎かもしれませんが、私は今回のコロナ禍の非常事態を、自分を変える良いきっかけであると捉えています。
私は、裸の王様の定義を変えます。裸であるとは、「どこから見られても恥ずかしくないような、隠し事や後ろめたいことがない状態」とします。
そして私は、あえて裸でいる、新しい時代の裸の王様になります。ありのままの姿を見てもらった上で、家臣や町民から敬意を抱かれる、そんな王様に私はなります。
皆さんも変わってください。「指示されることが当たり前」の状態から脱却してください。仕事のレベルを上げるために何をすべきかを、自ら考え、提案し、行動するようになってほしいのです。
今、この瞬間が、成長する会社と沈む会社との分かれ道となります。変化する会社こそが、成長できるのです。
以上(2020年6月)
pj17008
画像:Mariko Mitsuda