ビジネスは人と人とのつながりです。「人と出会い、意気投合し、一緒にビジネスをする」。ビジネスで必要なのはこれだけだという起業家もいるほどです。どのタイミングで誰と出会い、どれだけ意気投合できるかが、確かに大切なことです。だからこそ、私は積極的に人を紹介します。また、紹介されたときは、できるだけ多くの人と会うようにしています。どこにビジネスチャンスがあるか分からないからです。
このように説明すると、とにかく紹介の件数を増やせばよいと考える人がいますが、実際にはそうはいきません。紹介は、する側にとってもされる側にとっても、非常に難しい行為であり、下手をすると自分自身の信用を失ってしまうこともあります。
このことを知る私は、自分が紹介される側になった場合、紹介してくれる人のメンツを潰すことがないように、いつも以上に丁寧な対応をし、スケジュール調整も速やかに行います。紹介者などは忙しい中、時間を割いて動いてくれているので、その時間を必要以上に奪うことはできないからです。逆に、私が紹介する側になった場合、紹介する人と引き合わせる人の双方が私にとって大事な存在であるわけなので、やはりとても気を使います。「誰に誰を紹介するのか」という根本的なところはもちろん、「人柄は合いそうだが、ビジネスではもしかしたら競合するかも」と思った人は紹介しないようにしています。
しかし、ここまで注意していてもトラブルになってしまうことがあります。私の知人が、A氏にB氏を紹介したところ、B氏が引き起こしたトラブルが原因でA氏とB氏の裁判にまで発展したことがあります。その知人は責任を感じ、A氏に専門家を紹介したり、ビジネス面で別の人を紹介したり、誠心誠意の対応でフォローをしました。もちろん、金銭は一切もらっていません。
これほどまでに紹介は大変なことなのですが、逆にいうと、こうした紹介の大変さを理解している人は信頼できます。別の私の知人に、年間1000人以上の経営者と会う人がいます。経営者から「自分と会ってほしい」という連絡が頻繁に来るそうですが、その知人は「信頼できる人からの紹介でなければ会わない」と決めています。「信頼できる人が紹介する人は信頼できるはずだ」という、とてもシンプルな理由からです。この知人は、自分の周りを信頼できる人で固めることができたからこそ、年間1000人以上の経営者に会うことが可能なのでしょう。
今年、皆さんにすてきな出会いが訪れることを願います。皆さんに魅力がなければ誰かを紹介されることもありません。また、皆さんが誰かを紹介しようと思っても、相手が「◯◯さんの紹介なので会ってみよう」と思ってくれなければ何も始まりません。紹介の輪はそう簡単には広がりません。紹介の重みを知り、そのような機会には真摯に対応することから始めてください。
以上(2019年1月)
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画像:Mariko Mitsuda