仕事でミスをすると、「失敗した……」と落ち込みます。そんな状態で上司から叱責されると、精神的にますます追い込まれてしまい、「そこまで言わなくてもいいのに……」と、思わず反発したくなることもあるでしょう。仕事は毎日続くものなので、ある程度のミスは仕方がありません。大切なのは、ミスが出にくい仕事の進め方を心掛け、何かミスをしてしまったときはそこから学んで、同じようなミスを繰り返さないことです。
今、私は当たり前のことを言いましたが、皆さんはよく理解し、実践できていますか? 皆さんを見ていると、「ミスに対する上司の指摘を素直に聞いていないのではないだろうか?」と、不安になることがあります。例えば、上司の指摘に対して「でも……」と口をとがらせている人や、「ハイ。ハイ。モウシワケゴザイマセン」とロボットのような受け答えをして、とにかくその場をやり過ごそうとする人がいます。
皆さんがこのような態度を取ってしまうのは、心の中で、「悪気のないミスに対して、上司はもっと寛容であるべき!」と考えているからではないでしょうか。これには私も同感ですが、皆さんがもう一度考えるべきなのは、「ミスを防ぐために、やるべきことをやったのか?」ということです。仕事のミスのほぼ全ては悪意のないものですが、一方でそれら多くの原因は皆さんの怠慢かもしれません。例えば、ミスをしたときに、いつもの確認作業をしなかった、過去の指摘を守らなかった、適当にやってしまった、ということはありませんか。悪意がないとはいえ、やるべきことを怠った結果のミスならば叱責されて当然です。
こう言うと、「時間がなかったのだから仕方がない!」と主張する人が出てきます。そうした人には逆に問いたい。「時間が足りなくなりそうだと分かった時点で上司に報告し、対策を検討しましたか?」。この報告をしなかったのなら、やはりそれは怠慢であり、上司から叱責されて当然です。なぜなら、急いで多くの仕事をすればミスも起こりやすくなるものであり、本人に悪気はなくても、その人は間違った仕事の進め方をしたことになるからです。
一方、立て続けに上司に叱責されると、皆さんは上司を恐れ、接しにくいと感じるでしょう。この場合、上司の言動にも問題があるのでしょうが、イマドキの上司は、よほど問題だと感じなければ、あまり部下を叱責しないものです。にもかかわらず、立て続けに叱責されるということは、皆さんは、上司から見て指摘しなければならないミスを繰り返してしまっていることになります。
ほぼ全てのミスは悪意のない状態で起こります。悪意がない、つまり意識せずに起きてしまうのがミスなので、これを一人で防ぐのは容易ではありません。では、どうすればよいのでしょうか。それは、皆さんのミスを指摘してくれる上司の言葉を素直に聞くことです。ミスを減らすために、これ以上の近道はありません。
以上(2021年10月)
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画像:Mariko Mitsuda