私たちの日常は、日々が成功と失敗の繰り返しです。成功が続くときもあれば、失敗を繰り返してしまうことも多くあります。

何度かの失敗の後に成功に至れば苦労も報われますが、時にはひたすら失敗を繰り返すこともあります。私たちは失敗を繰り返すと成功の望みを失い、「これはもしかしたら絶対に不可能なことなのではないか」と思い込んで、自ら心に「壁」を作ってしまうことがあります。

例えば、皆さんが考えぬいた企画の提案が10回連続で認められなかったとしたら、11回目の提案内容に自信を持てますか? おそらく「自分の企画の何が悪いのか分からない」「どうせ次もダメだろう」と意欲を失って落ち込むでしょう。中には「自分には能力などないのだ」と諦めてしまう人もいるかもしれません。

そうした自信の喪失や諦めは心の壁となって再挑戦への気力をそぎます。そして、スランプの原因になったり、成長の足かせになったりします。

一度ぶつかった「壁」は、皆さんが成長するに従って簡単に乗り越えられるようになっていくはずですが、いつまでたっても古い壁に悩まされて、いつしかそれが自分の苦手なこととして意識の中に刻まれてしまうことがあります。

例えば、新人時代に皆さんの提案が通らなかったのはアイデア、プレゼンテーション能力、準備などが不足していたからであり、それらは成長した今なら、おそらく克服できているはずです。しかし、過去の失敗が壁となって苦手意識を持ち続けてしまってはいませんか? ある程度の経験を積んだ皆さんが、今苦手だと思っていることの中には、自分自身で作ってしまった心の壁が、いくつもあるはずです。

自分が作ってしまった壁を壊すためには、まず、苦手意識を持つ事柄をリストアップし、なぜそれを苦手と思っているのか考えてみましょう。今、冷静に思い返せば、苦手の原因はささいなことにすぎなかったかもしれません。自分で考えるだけではなく、同僚や友人などに意見を求めるのもよいでしょう。自分が苦手だと思っていたことが、実は周囲からは高い評価を得ているかもしれません。それがわかれば、心の壁はいつの間にか消えてしまうことでしょう。

最後に、どうしても苦手意識をぬぐえず壁を感じるなら、それを飛び越える努力は、惜しむべきではありません。例えば、接客が不得手なら積極的に店頭に立つ、苦手な顧客がいるなら、週に1度は直接足を運ぶことを決めて実行してみましょう。

過去の失敗を恐れてはいけません。自分で作ってしまった自分の限界は、自分自身で打ち破らなくては、超えることはできないのです。苦手から逃げず、チャレンジする。そういう意識に自分を置くことで、皆さんが感じている心の壁は、きっと打ち破れることでしょう。

以上(2022年9月)

op16539
画像:Mariko Mitsuda

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