私はスーパーマーケットで、いわゆる閉店前の「見切り品」を買うのが好きです。仕事帰りに立ち寄ったときに、総菜や生鮮品が10%引き、30%引きといった商品が売られていると、ここぞとばかりに買います。とはいえ、自分でも「ちょっとセコいな」と思っていて、見切り品ばかり買わずに通常価格の商品も買うようにしていました。
ところが、あるスーパーマーケットで、ふと値引きのラベルを見たときに、「食品ロス削減にご協力いただき、ありがとうございます」と書かれているのに気付き、私は考え方が変わりました。
私はものを買うときに、自分の欲しいものを、なるべく安い価格で買うことだけを考えていました。ですが、売る側のスーパーマーケットにとっては、私がものを買うことで売り上げとなり、利益の一部が店員の方々の給料になり、その家族の生活を支えるわけです。閉店前の、売れ残ってしまうかもしれない見切り品が売れることで、通常価格の商品まででなくても、いくらかの利益を得ることができますし、食品を廃棄せずに済みます。
そう考えると、ものを買うという行為は、一見すると利己的なことのように思いますが、実は世の中にとって意味がある、社会貢献につながる行為なのだということを、私は改めて感じました。特に見切り品や型落ち品を買うことは、ロス削減にも貢献する行為ですので、堂々と買えばいいのではないかと思うようになりました。
それと同時に、買い物をするときには、商品の品質や価格だけでなく、自分が買うものは、誰がどのようにつくって、買うと誰の生活に影響するのかも意識するようになりました。いわゆる「エシカル消費」まではいきませんが、どうせ買うなら、少しでも社会に貢献したい、社会に貢献していることを感じたい、と思うようになりました。
それから、ものを買うということが社会に貢献することだとするならば、逆にものを売るということは、社会に貢献する機会を提供しているのではないかと思うようにもなりました。だとすれば、ものを買う人と売る人の関係は、「買ってあげる人」と「買ってもらう人」だけではなく、「売ってもらう人」と「売ってあげる人」と見ることもできるはずです。結局、ものを買う人も売る人も、共に社会に貢献している、対等な関係なのではないでしょうか。
今までの話は私の個人的なことですが、これは仕事でも活かせることです。たとえ大切な取引先であっても、社会に貢献するという意味では、対等な関係になっていいと思います。また、これから取引をする際には、商品・サービスの魅力や価格だけでなく、この商品・サービスを買うとこんな社会貢献ができます、というアプローチの仕方でも説明しようと思います。そのためには、もっと自社の商品・サービスのルーツや社会的な意義をしっかりと学び、取引先にも説明できるようになろうと思います。
以上(2022年11月)
pj17130
画像:Mariko Mitsuda