今日は、皆さんに大事なことを質問します。皆さんには、困ったときに頼れる人はいますか。仕事のことでも、仕事以外のことでも、頼れる人がいるのといないのとでは、心の持ちようが大きく違います。
私には、困ったときに頼れる人が、何人かいます。そのうちの1人は、まだ20代の若者です。彼は、自身の専門分野に明るいのはもちろんですが、それだけではありません。人から相談されたときに、すぐに解決できないことでもゼロ回答とせず、一緒にどうにかしようとする姿勢や心意気を持っています。彼の真摯な姿を見ていると、感謝で胸がいっぱいになります。心が洗われ、自分自身も頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
一方で、残念ながら「この人は、いざというときに頼れないな」と思う人もいます。何かを相談したりお願いしたりしたときに、リアクションが悪く、対応してくれる際も保身に走る言動が目立つような人は、「頼れない」と感じてしまいます。利害関係があれば、ある程度の保身は仕方がないのかもしれませんが、それがあまり目に付くようだと、信頼できなくなってしまうのです。
そうした頼れない人の言動を見ると、私は悲しい気持ちになるのと同時に、その人を反面教師にしなければと強く思います。皆さんは、こうした話をどのように感じますか。困ったときに頼れる人はいるか、そして、皆さん自身は、誰かの頼れる人になっているか。一度、考えてみてください。
頼れる人と頼れない人には、さまざまな違いがあります。分かりやすいのは、「相談を受けた際、どのような動きをするか」という点でしょう。
頼れる人は、すぐにリアクションをします。自身が今できることを考え、実践しようとするのです。たとえ今、本人にできることがなかったとしても、「この手段がよいかもしれない」「この人に聞けば分かる可能性がある」「こうした影響も考慮したほうがよい」と、前に進む提案や建設的な意見を相手に伝えられるのが頼れる人です。
一方、私の経験上、頼れない人は、自分から動こうとしません。「分かりません」「できません」「今は難しいです」と、できるだけ労力を費やさずに済まそうとします。こういうリアクションを取らせる関係を築いてしまった側にも責任はあるでしょう。しかし、こうした言動は、相手にあまりにも冷たく利己的な印象を与えます。そして、次第に相手からの信頼は失われていくのです。
頼れる人と頼れない人とでは、結局、「誠実さ」において違いがあるのではないかと私は考えます。相手の困っている状況や気持ちに寄り添い、誠実に向き合おうとすれば、人は自ずと、頼れる人の言動を取るものではないでしょうか。
例に挙げた20代の彼は、私が感謝すると、「いえ、自分はまだ、至らないところが多くて。もっと勉強します」と答えます。皆さんは果たして、そうしたことが言えますか。皆さん、ぜひ、私と一緒に、「頼れる人」になりましょう。
以上(2019年8月)
pj16971
画像:Mariko Mitsuda