【ポイント】
- 野口英世氏は、同僚から「いつ眠るのか」と言われるほど医学に没頭し、努力を重ねた
- 自分の「武器」を磨く努力を忘れたら、何もできない人間になってしまうかもしれない
- 他人から強制される努力は長続きしない。自分の情熱を傾けられるものを原動力にする
おはようございます。本日は、黄熱病の研究などで知られる細菌学者、野口英世(のぐちひでよ)氏についてお話ししたいと思います。細菌学者として偉大な功績を残している野口氏ですが、その功績は、彼の圧倒的な量の「努力」によるものでした。同僚から「いつ眠るのか」と言われるほど研究に打ち込み、「人間発電機(ヒューマンダイナモ)」というあだ名がついたほどです。
野口氏は、幼少期に左手の大やけどという大きな身体的ハンディキャップを背負いながら、左手の手術によりその苦難を克服。医学の素晴らしさを実感し、自らも医学の道を志すようになります。故郷を離れる際に「志を得ざれば再び此(こ)の地を踏まず」と柱に彫りつけるほど、医学には情熱を傾けており、その情熱が常に圧倒的な努力の根底にあったのでしょう。
こうした努力に関する話をすると、なかには「暑苦しい」「古臭い」と苦手意識を持つ人もいるようです。昨今はAIがめざましい進化を遂げ、それらをいかにうまく使って、効率良く仕事をするのかが重視されがちです。睡眠時間を削ってまで研究に打ち込んだ野口氏の話を聞いて、「すごい人なんだろうけど、自分にはちょっと……」と身構えてしまう気持ちも分からなくはありません。
一方で、便利なツールが次々に登場する中で、努力というものが軽視されがちな状況も、私は危険だと考えます。もちろん、効率は大事です。ただ、AIをはじめとする便利なツールの恩恵に甘えて、自分の「武器」を磨くことが疎かになってしまうと、いざというとき何もできない人間になってしまうかもしれない……。その危機感は常に持っておくべきでしょう。野口氏の残した言葉に「誰よりも三倍、四倍、五倍勉強する者、それが天才だ」というものがあります。時代に逆行するように聞こえるかもしれませんが、成功する人物というのは、周囲から天才と呼ばれながらもその陰で尋常ではない努力を重ねているものです。
とはいえ、他人から強制される努力は長続きしません。野口氏が子どもの頃に、自分の左手を治してくれた医学に情熱を傾けたように、皆さんにも自分の心が燃える、何か原動力になるものがあるはずです。自分の心に火を焚(く)べて努力を重ね、少しずつ前に進んでいってください。
以上(2025年8月作成)
pj17226
画像:Mariko Mitsuda