2025年3月10日月曜日。東京都中央区にて、中小企業庁主催のイベント、

「まだ大丈夫」はもう遅い!? 経営支援の最前線 in 東京

が開催されました。このイベントは、自社の事業に不安がある経営者や、将来の事業承継候補として経営を担えるかどうか不安な方を対象に、経営で困ったときの相談先や経営改善・企業成長のヒントをプロから学ぶことができるというものです。

東京会場では現地参加とオンラインでの参加を合わせて150人以上が参加! 借入金や資金繰りなど、

中小企業の様々な悩み解決をサポートする「中小企業活性化協議会」の取り組み

を主軸に、イベントが実施されました。

画像1

開催に先立って、登壇者である神戸大学経済経営研究所・教授の家森信善氏と、東京都中小企業活性化協議会・統括責任者の相澤啓太氏にインタビューを実施し、このイベントで特に伝えたいことを聞きました。

家森教授が特に伝えたいこと


相澤統括が特に伝えたいこと


イベントは次の3部構成で行われました。

第1部:基調講演「中小企業を取り巻く現状と経営者の自己認識」

第2部:パネルディスカッション「中小企業の事業再生に関する誤解と実態」

第3部:具体的支援策の紹介「東京都の現状と協議会による支援策の紹介」

第1部では、家森教授が登壇。「中小企業を取り巻く現状と経営者の自己認識」と題して、基調講演を行いました。家森教授のお話から分かってきたのは、

借入金や資金繰りなど、経営上の悩みを他人に打ち明けられない経営者が意外と多い

ということ。「周囲に迷惑をかけられない……」と独りで悩みを抱え込んだり、「そのうち何とかなるだろう」と状況を楽観視したりしているうちに、経営が悪化してしまうケースが少なくないそうです。

もちろん、会社のことを最もよく分かっているのは経営者ですが、当事者であるがゆえに視野が狭くなりがちなのも事実。家森教授は、

人間の病気も、早めに医者に診てもらえば症状が軽いうちに対処できる。これと同じで、経営上の悩みも「とにかく早めに専門家に相談すること」が肝心

と強調しました。中小企業活性化協議会への相談は無料で、しかも弁護士・公認会計士・税理士などの専門家のアドバイスが受けられるので「とにかく早め、早めの相談を!」とのことでした。

画像4

第2部では、中小企業基盤整備機構中小企業活性化全国本部・統括事業再生プロジェクトマネージャーの松田正義氏、相澤統括、ときわ法律事務所・弁護士の浅沼雅人氏が登壇。家森教授がモデレーターを務め、「中小企業の事業再生に関する誤解と実態」というテーマでパネルディスカッションを行いました。

まずは松田統括から、中小企業にありがちな誤解ということで、

事業再生は「後ろ向き」な取り組みではなく、「前向き」な取り組みである

というお話がありました。事業再生というと、「借入金や資金繰りをどうするか」という財務的な問題にばかり目が行きがちですが、実際は「事業をどう立て直せば、会社が蘇るか」にも焦点を充てていて、“事業と財務の両輪”の取り組みになっているそうです。

画像5

続いて相澤統括からは、事業再生の支援策についてのお話が。中小企業活性化協議会では、「プレ再生支援・再生支援」という、事業再生のための計画を経営者と一緒に策定する取り組みを実施していて、

中小企業活性化協議会がアドバイザーに就くということで、借入先の金融機関も経営改善が見込めるまでの間、リスケ(借入金の返済期限の延長)に応じやすくなる

そうです。

画像6

浅沼弁護士は、「金融機関への返済を止めても、資金繰りがうまくいかないところが多い」という中小企業のリアルを話してくれました。こうしたケースで弁護士に相談があった場合は、

「売却できる資産がないか」「ノンバンクからの借り入れができないか」など、資金繰りの方法を経営者と一緒に模索していく

そうです。ただ、やはり大切なのは「早めの相談」で、金融機関が新規融資や折り返し融資に応じてくれなくなった時点で、すぐに専門家に相談に行くのが理想とのことでした。

画像7

第3部では、引き続き相澤統括が登壇。「東京都の現状と協議会による支援策の紹介」ということで、収益力低下、借入増加のおそれのある段階で利用する「収益力改善支援」、収益力改善支援で対応しきれず、財務内容や資金繰りの悪化等が生じた場合に利用する「プレ再生支援・再生支援」について説明してくれました。

画像8

(出所:中小企業庁「収益力改善支援」「プレ再生支援・再生支援」)

また、実際に支援策を利用して事業を立て直した中小企業の事例として、

  • 「収益力改善支援」を利用し、収益改善計画を立てて過剰債務を脱却した化粧品会社
  • 「プレ再生・再生支援」を利用し、協議会から注力すべき事業・撤退すべき事業についてのアドバイスをもらって、資金繰りの安定化に成功した小売会社

の話などもしてくれました。

画像9

3時間に及んだイベントでしたが、その分、参加者にとっても得るものは大きかったようです。現地でイベントに参加した経営者の方々から、次のようなコメントをいただきました。

  • 中小企業活性化協議会が何をしている組織なのか知らなかったので、勉強になりました。支援策の内容を、自分でも調べてみたいと思います。
  • 「早めの相談」は自社でもできていないので、今後は一人で悩まずに、困ったら相談をしていきたいと思います。
  • 専門家の方から、中小企業の現状や事業再生についてリアルな情報が聞けたので、参加してよかったと思っています。業種ごとの成功事例なども、もっと知りたいです。

最後に、家森教授と相澤統括から、中小企業経営者の皆さまへのメッセージをお届けします。

家森教授から中小企業経営者の皆さまへ


相澤統括から中小企業経営者の皆さまへ


以上(2025年4月4日)