“情報通”と呼ばれる人は、独自の情報収集ルートを持っています。そうしたルートは閉鎖的で、仲間に入らなければ情報は得られません。つまりは人と人のつながりであり、情報収集力は人脈力に比例して高まります。ただし、ビジネスにおける情報活動は人脈構築だけでは不十分で、基礎的な情報を継続して収集することも大切です。それは、なぜなのでしょうか。
1 なぜ、情報活動が必要なのか?
最近は、自分のビジネスには関係がないとか、人脈から得られる情報で十分などといった理由から、新聞はもちろん、ウェブニュースさえ読まないビジネスパーソンが増えているようです。しかし、どうでしょうか。3日も新聞を読まなければ、世の中の動きが分からなくなります。
世の中の動きを知らなければ周囲から相手にされず、人脈は構築できません。また、仮に人脈から情報を得られたとしても、それを使うタイミングを計るために、やはり世の中の動きを知っておく必要があります。
情報活動では、「日ごろから基礎的な情報を継続して収集すること」「人脈を構築して、そこでしか得られない情報を収集すること」の2つが大切です。基礎的な情報を収集することで人脈構築のチャンスが広がり、また人脈から得られる情報の“使いどころ”も分かるのです。
本稿では、基礎的な情報をインターネットのニュースサイトなどから収集する際に留意すべきポイントを紹介します。人脈の構築については、別でご用意しているシリーズ第1回「人付き合いが苦手な社長でも人脈は構築できる」やシリーズ第2回「せっかく構築した人脈。長く維持するには?」をご参照ください。
2 情報活動の流れ
情報活動の入口は「収集」、出口は「判断」です。出口に向かう過程には、不正確な情報や古い情報を捨て、必要な情報だけを残す「取捨選択」、残った情報の論点を整理して自分が知りたい形にする「加工・活用」の工程があります。
「PA(パーキングエリア)」は、「その時点では必要なさそうに感じられるが、いずれ活用するかもしれない情報を一時的に保管しておく場所」というイメージです。スマートフォンのメモや新聞のスクラップのようなものです。
こうした情報活動のサイクルを回す上で必要なポイントは、「良質な情報に数多く触れる」「情報を正しく取捨選択する」「情報の加工・活用を手伝ってくれる人を持つ」の3つです。
3 良質な情報に数多く触れる
この段階では、好き嫌いをせず、幅広い情報に触れましょう。とはいえ、膨大な情報に端から当たっていくのは非効率なので、良質な情報がまとめられている情報源を見つけ出すことがポイントです。例えば、「運営機関が信頼できるか」「情報の作成や更新日が明確であるか」などの点を満たす情報源が該当します。
また、レコメンド機能には注意しましょう。レコメンドは、自分の感覚に合った情報をお勧めしてくれる便利な機能ですが、受け身でいると情報の偏りが激しくなります。中には、情報提供者の意図(PVを上げたいなど)でレコメンドをしてくることもあります。
一部のメンバーサイト(有料で会員登録をするようなサイト)は別として、この段階で入ってくる情報の多くは比較的容易に収集できるものです。その中から、良質な情報を選び、数多く触れることが大切です。
4 情報を正しく取捨選択する
この段階では、収集した情報を「正確性」「最新」「既知と未知」の基準で取捨選択していきます。基本になるのは、「正確性」の基準です。正しくない情報は論外であり、誤った判断につながる恐れもあるため切り捨てます。ただし、情報の正確性を見極めるのは簡単ではないため、現実的には「どこから発信された情報なのか」を考慮して、真贋(しんがん)を判断します。
次は「最新」の基準です。特に法令や業界動向など新しさが求められる情報については、「古い条文と比較したい」など特別な事情がない限り、古い情報は不要です。そのため、法令改正の情報であれば、まずは管轄官庁の情報を確認し、その内容が反映されている情報を残し、そうでないものは切り捨てます。
最後は、「既知と未知」の基準です。1つのことを調べていくと、徐々に自分の知識レベルも上がってきます。そうすると、自分が知っている情報に当たることが増えます。自分が知っていることを繰り返し確認するのは時間の無駄なので、まだ自分が知らない一段上の情報を探すようにしましょう。
5 情報の加工・活用を手伝ってくれる人を持つ
この段階では、取捨選択した情報を加工・活用します。情報活動に行き詰まりがちなのは、全ての情報を理解しようとする人です。字面を追うだけでも大変なのに、内容までしっかり理解するのは簡単なことではありません。ましてや、それが専門分野の情報であれば、重要なポイントを見落としてしまうことさえあります。
「自分で全て理解する」という感覚は捨て、情報を整理しながら「疑問を明確にする」ことに注力しましょう。そして、その分野に明るい人に相談をして疑問を解消していくのです。こうして得られた情報は実践的かつ個別的で、一般に公開されている情報とは一線を画します。ビジネスの判断に使えますし、人と情報交換をするのにふさわしい内容です。
なお、疑問を解消するための相談相手はさまざまです。人脈で得た人たちだけでなく、顧問(税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士など)、金融機関、商工会議所などに相談してみるのもよいでしょう。
自分の疑問を金融機関に相談したがらない社長もいます。これは、「業績が良いわけではないため、あまり金融機関に顔を見せたくない」とか、「こちらの業界のことをよく分かっていないので、相談していいものだろうか」などと考えるからです。
しかし、金融機関には融資先などからの相談に答える相談機能があります。また、グループに総合研究所などのシンクタンクがありますし、ネットワークを通じて専門家を紹介してくれることもあります。一度、相談してみる価値はあるでしょう。
以上
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