部下が仕事の報告を話し始めると、「それは分かった」と話をさえぎる上司がいます。しかし、こうした上司は、本当に部下の言わんとすることが分かっているのでしょうか。部下の心情を理解できているのでしょうか。

上司は、部下の仕事内容をだいたい把握しているものです。そのため、部下が仕事の報告を始めたら、その内容についてはほぼ見当がつくでしょう。しかし、ここで上司が分かるのは、だいたいのところにすぎません。

そこで、部下を持つ皆さんにお願いが二つあります。一つ目のお願いは、部下が報告を始めたら、話をすべて聞くことに注力してほしいのです。部下の話を「それは分かった」と途中でさえぎるのではなく、「なるほど、それでどうなりましたか」「概略は分かりました。もう少し、具体的に教えてください」「今後はどうなると思いますか」と問いかけてください。

もう一つのお願いは、このときに部下の心情を理解してもらいたいのです。仮に、部下の仕事が想定通りに順調に進捗(ちょく)しているとします。部下は、仕事が想定通りに進んでいることに対して「ほっとしている」と思っているかもしれません。本心では仕事が想定通りに進むことは困難だと考えていたため、「現状に満足だ」と思っているかもしれません。意欲の高い部下であれば、もっとできたはずとの思いから「残念だ」と考えているかもしれません。あるいは、関係者全員が喜んでいるので「自分もうれしい」という部下がいるかもしれません。

美しいと思う景色や大金と思う金額が個人によってまちまちなのと同様に、傍(はた)からは同じ状況下に見えていても、部下がそのときに考えることは同じではありません。

一人ひとりの心情を理解し、その上で部下をマネジメントしなければ、上司として十分な役割を果たしたとはいえません。今、部下の皆さんは「そうだ、そうだ。その通り」と心の中で叫んでいるのではないでしょうか。

上司の仕事は、部下の業務の割り振りをし、業務の進捗(ちょく)状況を管理するだけではありません。上司にとって、もっと重要な仕事は部下の心情を把握し、その時々に応じて、正しい助言をし、部下のやる気に火を付けることです。

壁を乗り越えられずに、「つらい」と感じている部下には、上司は自分が「つらい」と思った経験を話してあげてください。そうすることで互いの理解が少しでも深まります。心がてんぐになっている部下には、てんぐのときがあってもいいが、足元をしっかり見てみろ、そろそろ気を引き締めるときだと諭(さと)してください。

上司の皆さんは、自分が部下だったころを思い出し、部下の心情を理解する努力を続けてください。そうすることで、これまで以上に部下のマネジメントができるようになりますし、ひいては部下と本当の仲間になれます。

私も、皆さんの心情を理解する努力を続けますので、本心を打ち明けてください。

       

以上(2022年7月)

op16500
画像:Mariko Mitsuda

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