書いてあること

  • 主な読者:オンラインでのコミュニケーションに苦戦しているビジネスパーソン
  • 課題:対面より意思疎通がしにくいし、時間も手間もかかる。相手に伝わっているか不安
  • 解決策:「準備」「丁寧」「配慮」という当たり前を徹底し、改めてオフラインも大切にする。「準備」のアジェンダ作りにはChatGPTのようなツールを使うのも一策

1 オンラインの工夫がオフラインにもつながる

ビジネスでは、日常的にオンライン・オフライン(対面)の両方を使うのが当たり前になっています。また、リモートワークを出社に戻した職場もあるでしょう。そうなると、オンライン・オフラインの切り替えがうまくできない人、オフラインが通常で「時々使うオンラインのコミュニケーションが何かぎこちない」人がいるかもしれません。

オンラインでもオフラインでも、物事を伝えるときには相手のことをよく考えるのが鉄則ですが、加えてオンラインでは、「相手との接点がパソコンやスマホ上に限られている」ことを考慮した工夫が必要です。

そこでこの記事では、改めて実践したいオンライン時の工夫として「準備」「丁寧」「配慮」の3つをご提案します。オンラインミーティング(ウェブ会議ツールを使ったミーティングや商談)編と、テキストコミュニケーション(チャットツールを使ったテキストベースのやり取り)編に分け、それぞれの工夫をご紹介しますので、今日から実践してみてください。

オンラインで気持ち良くコミュニケーションが取れると、オフラインでも会いたくなります。なんとなく、オフラインは「本当に会いたい人と会う」「大切な話で会う」イメージがあります。大切なオフラインにつなげていくためにも、オンラインでの工夫を心掛けてみましょう。

2 オンラインミーティング編

1)内容の強弱まで伝えておく「準備」

オンラインミーティングでは、事前の資料展開がより重要です。相手に一方的に話を聞かせるだけだったり、参加者がその場で初めて考え始めて沈黙が多くなったりするようでは時間の無駄です。アジェンダ(議題)は、遅くとも、開催1日前には展開しましょう。

さらにオンラインミーティングの密度を高めるには、「特に話し合いたいのはこの点です。賛成・反対と、その理由を考えておいてください」「今回、必ず決めたいのはこの2点です」「問題となるのはこの点です」など、内容の強弱もあらかじめ伝えておくのが理想的です。

また、最も重要な点やデリケートなことについては、事前に音声を録音・送信できるボイスメールなどでポイントを頭出ししておくのもよいでしょう。音声だとテキストよりニュアンスが伝わりやすくなります。このように、「準備」には、ある程度手間を掛けることが必要です。

なお、アジェンダについて一つ参考になるものを、この記事の最後に参考情報として掲載します。ChatGPTに、オンラインMTGのテーマと目的をざっくり指定して、どういうアジェンダが理想的か聞いてみた結果です。アジェンダ準備のご参考になれば幸いです。

2)理論的かつ認識合わせを挟む「丁寧」

オンライン上では、理論的に話すことを心掛けなければなりません。「結論(言いたいこと)と理由」を意識して「丁寧」に、筋道を立てて話すと、相手に伝わりやすくなります。例えば、「今回のご提案は◯◯です。まず、ご提案する理由からご説明します」「メリットと考えられるのは△△です。なぜなら?」という具合です。

また、誤解や勘違いは対面していても起こりがちですが、相手の表情が分かりにくいオンラインミーティングでは、もっと多くなります。そこで、「ここまでをまとめると私の認識はこうですが、何か違う点はありますか?」「ご認識の内容を念のためご説明いただけますか?」と、途中で認識合わせを挟むなどして「丁寧」に進めましょう。

手書きでも箇条書きでもいいので、その場で図やキーワードを書いて画面共有し、視覚的に情報共有するのも「伝える」ための一策です。後は「誤解は生じるのが普通」と捉え、大事なことほど、オンラインミーティング後に個別にフォローするという「丁寧さ」も必要です。

3)資料の作り方、名前の表示、顔の出し方まで「配慮」

まず、資料の作り方から、オンラインならではの「配慮」が求められます。オンライン上では、「資料の“ここ”」と言っても相手には分かりません。「画面共有している資料の右上にあるオレンジ色の番号」などと具体的に伝える必要があります。ページ数やポイントとなる図・キーワードは、口頭で伝えやすい色や大きさにしましょう。

また、複数社・複数人が参加していると、名前が覚えられない、話す人がかぶるなどの事態が発生します。そこで、画面上で表示される自分の名前を「平仮名の名前/会社名」に変える、名刺を背景にするなどの工夫が必要です。発言も、「□□(会社名)の◇◇(自分の名前)が発言します」といったように、誰が話すかを、明確にしてから始めるのがよいでしょう。

オンラインミーティングの際、顔出し(カメラをオンにすること)は必須ではありませんが、初対面のときやお礼・おわびをするとき、年末年始・年度初めなどの節目のときには、顔出しして表情を伝えるのがよいでしょう。相手の状況にもよりますが、自分が顔出ししない場合は、「接続を安定させるためカメラをオフにします」と最初に一言お断りを入れる、途中で相づちや質問をして「話を聞いていますよ」という姿勢を伝えることなども大切です。音と画面だけで物事を伝えるオンラインミーティングでは、こうした細かい「配慮」が欠かせません。

3 テキストコミュニケーション編

1)自ら積極的に情報収集するのが「準備」

リモートワークの導入度合いにもよりますが、テキストコミュニケーションについては、社内メンバーやプロジェクトメンバーとやり取りするケースが多いでしょう。まず「準備」すべきことを考えてみます。

テキストコミュニケーションにおける「準備」として必要なのは、メンバーと「丁寧」にやり取りし、「配慮」して物事を伝えるために、日ごろ、自ら積極的に周りと関わり、情報収集しておくことです。例えば、よく使う資料はどこにあり、誰が関係しているか。今、誰がどの案件を担当しているか。困っていそうな人は誰か。全体としてどのような動きがあるか(新規営業に力を入れているか、採用活動はどうなっているかなど)などが挙げられます。

2)強度も伝えるのが「丁寧」

テキストで物事を伝えるときのポイントは、「相手の手数を少なくする」ことです。「それは何のためですか?」「いつまでですか?」など相手に何度も質問を打ち返させないよう、物事は「丁寧」に伝えましょう。ここでは分かりやすいように、悪い例と良い例を出してみます。

【悪い例】

次回のMTG(ミーティング)で話し合いたいので、提案書の作成をお願いします。内容については、前回MTGの資料を参考にしてください。よろしくお願いします。

【良い例】

提案書の作成をお願いします。概要は下記の通りです。

  • 目的:6/16(金)10:00のMTG時にメンバーで提案内容を話し合うため。
  • 内容:前回(6/1(木)10:00)のMTGで使った資料を参考にしてください。

→該当資料の在りか:https://××××

  • 期限:6/14(水)17:00
  • 格納:出来上がったら下記フォルダに入れてください。私が内容を確認します。

→フォルダの場所:◯△□

  • 備考:他に◇◇の案件で忙しいと思いますので、時間をかけず所要2時間のイメージ。それ以上時間がかかりそうだったら相談してください。他のメンバーに振ります。

上記は極端なので、悪い例と良い例の違いが分かりやすいでしょう。良い例では、「強度=力の入れ具合、時間のかけ具合」を明確に伝えていることがポイントです。お互いに見えない状態で進めるテキストコミュニケーションでは、強度まで明確に伝える「丁寧さ」が必要です。

3)読んだ相手が本当にすぐ行動できるかイメージする「配慮」

テキストコミュニケーションにおける「配慮」とは、相手が次の行動を起こしやすいようにすることです。物事を「丁寧」に伝えつつ、より一歩踏み込んで、テキストを読んだ相手の行動を具体的に想像しましょう。これも、悪い例と良い例を出してみます。

【悪い例】

顧客XYZ社からメールが来ました。本件の進め方について、AとBが書いてあります。Aが良さそうな気がします。ここにそのメールを貼り付けます。 ※以下メール文面

【良い例】

顧客XYZ社からメールが来ました。本件の進め方について、AとBが書いてあります。AとBのどちらが現実的に可能か、コストも考慮して、ご意見教えてください。私は◯△という理由でAと思いますが、最終的に、◇□さん(テキストの宛先)のご意見を聞いた上で、明日、判断したいです。ここにそのメールを貼り付けます。 ※以下メール文面

悪い例では、単に情報共有なのか、感想を言っているだけなのか、それとも何かを求められているのか分かりません。一方、良い例を読めば、相手は「意見を言う(書く)」のを求められているということが明確に分かります。とても基本的なことですが、顔の見えない状態では、「相手はこのテキストを読んで、求められていることがすぐに分かるか」という「配慮」が欠かせないのです。

参考 ChatGPTでアジェンダを作ってみると

ChatGPTにテーマと目的をざっくり指定して、理想的なアジェンダを作ってみてもらいました。下記の通りです。そのままコピペしてアジェンダにできるわけではありませんが、むしろ、オンラインMTGの進め方の参考になりそうなところもあります。

また、かなり議題がもりだくさん、かつ俯瞰(ふかん)的なアジェンダになっているので、当日のオンラインMTGで全部を話し合うのは難しそうです。そこで、このChatGPTアジェンダから「事前の宿題」にできそうなものをピックアップし、事前に参加メンバーに考えておいてもらうといいかもしれません(「どの業務が不適切であるなど、業務における問題点」など)。オンラインMTGの準備としては、こうしたChatGPTなどのツールを使う方法も考えられるでしょう。

【設定(ChatGPTへの質問)】

業務効率化についてのオンラインMTGについて。初回MTGで役割を決めるときの理想的なアジェンダを作ってください

【ChatGPTの作ったアジェンダ例】

1. 紹介とアイスブレイク

参加者の自己紹介と、職務や役割についての簡単な説明

参加者同士が知り合い、雰囲気を和やかにする

2.MTGの目的

なぜ業務効率化についてオンラインMTGを行う必要があるのかを明確にする

3.討論する課題、問題点の明確化

どの業務が不適切であるかなど、業務における問題点を共有する

何が改善必要であるかを話し合って問題を明確化する

4.役割の割り当て

役割ごとに何を解決しなければならないか意見を共有する

各自が得意な部分や強みを考慮した上で、最終的な役割分担を決定する

5.アクションプランの策定

役割と責任を確認し、問題解決のためのアクションプランをディスカッションする

各アクションプランについて、担当者と期限を確認する

6.MTGのまとめ

今後の連絡方法を確認する

今回のMTGで得た知見や、今後の改善フィードバックについて話し合う

お礼の挨拶をする

以上(2023年6月)

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画像:Artistdesign29-shutterstock

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