書いてあること

  • 主な読者:丑年にちなんだ話題や、スピーチなどを探しているビジネスパーソン
  • 課題:話題などを調べたり、スピーチを考えたりする時間がない
  • 解決策:過去の丑年に起こった出来事、丑年にちなんだスピーチ例を学ぶ

1 丑(うし)に関する話

1)丑年に起きた出来事

2021年の干支は「丑(うし)」です。前回の丑年は、2009年(平成21年)でした。2009年はWBC(ワールドベースボールクラシック)の第2回大会で日本チームが2度目の優勝を果たしたことが日本を湧き立たせ、衆議院選挙によって自民党から民主党へ政権交代が行われたことが大きな話題となりました。それ以前の丑年には、1973年には第一次オイルショック、1985年にはプラザ合意と、世界経済の大きな節目となった年がありました。

過去5回の丑年に起きた主な出来事や流行語は次の通りです。

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2)丑年生まれの有名人

丑年生まれの日本の有名人には、次のような人がいます(既に亡くなられた方も含みます)。

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3)丑の話

江戸時代まで、日本では時刻を表すのに一昼夜を12に分け、それを十二支に当てました。真夜中が子(ね)の刻で、午前1時〜午前3時までを丑(うし)、午前3時〜午前5時までを寅(とら)といった具合に割り当てたわけです。

丑の刻を表す丑とはもともと位置や方角を示したものであり、丑と寅の刻の中心の3時を表す方角は北東となります。陰陽道では、この丑寅(艮)の方角は鬼門であり、鬼が侵入してくる方角だとされています。

このような陰陽道の影響もあり、丑の方角や丑の時刻というのは人々に恐れられてきました。丑の刻とは、おおよそ午前1時から3時を指しますが、この時間は人が鬼に変貌したり、鬼が現れたりする時間と考えられていたようです(現在でも、風水では鬼門は「災いが訪れる方角」として、家を建てる際に「水回り」「玄関」は北東の方角に造ると縁起が悪いなどといわれます)。

2 丑(うし)にちなんだスピーチ例

1)スピーチ例1

今年の干支は丑です。動物の「牛」にちなんだ諺(ことわざ)はさまざまありますが、その1つに「牛売って牛にならず」というものがあります。これは、「飼っていた牛を売った代金で、新たな牛を買おうとしても、お金が足りず買うことができない。見通しが甘くて損をしてしまう」という意味があるとされています。

こうした意味が転じて、「人は誰しも自分のことは高く評価しがちだが、自分が思っているほど他人からは評価されていない」という解釈もあるようです。皆さんの中にも、日ごろ、「自分はちゃんとやっているのに、周りから正当に評価されていない」と不満を持っている人がいるのではないでしょうか。

「ちゃんとやっている」と思っているのは、あくまでも皆さん自身の「自分の尺度」「自分の基準」です。人から見たら、「それはできて当たり前。まだまだ足りない」と思われるのかもしれません。今年は、そうした「自分視点」から抜け出して、周りの言うことを素直に受け止めてみてください。

一方で、矛盾するかもしれませんが、もう一つ私が皆さんに言いたいのは、「人からどう評価されるかを考えて仕事をしているうちは、まだまだだ」ということです。お客様のため、周りのために一生懸命に考え行動していれば、ワクワクしますし、「自分はちゃんとやっているのに正当に評価されていない」「自分は人からどう評価されているのだろうか」などと思う暇もありません。

今年、もし、「自分は正当に評価されていない」と思うことがあったなら、皆さんにやってほしいことは2つです。1つは、「これは自分の基準で考えていただけだ、相手の視点に立って考えてみよう」と「自分視点」を抜け出そうとすること。

そしてもう1つは、「そんなことを考えている暇もなくなるほど、もっと一生懸命に取り組もう」とすることです。極端かもしれませんが、どのような時代になっても、こうしたことは変わらず大切だと私は思います。今年も皆さん、ぜひよろしくお願いします。

2)スピーチ例2

今年の干支は丑ですが、実は、丑は昔から縁起の悪いものとして扱われてきた一面があるようです。「丑三つ時」「丑寅の方角」などは分かりやすい例でしょう。特に、「丑寅の方角」は鬼門といって鬼が侵入してくる不吉な方角だとされています。

しかし、同時に鬼門には、鬼が入ってこないようさまざまな方策が施されてきたのです。例えば、「丑の刻参り」で有名な京都の貴船神社では、平安の昔から日照りや長雨が続いたときや国家有事の際には、必ず勅使が差し向けられ、祈りがささげられていました。

このように、言ってみれば「丑」は、危難をもたらすとともに、危難から守るべき要を表してもいたのです。昔の人はこの鬼門にさまざまな工夫をして立ち向かっていきました。翻って皆さんは、自分の鬼門、苦手なことや過去の失敗などに、どのように向き合っているでしょうか。

鬼門の中には、これまで避けてきたから気付かなかっただけで、突破することで自身が成長できるものがあるかもしれません。そうした「突破すべき鬼門」がないか、皆さん、いま一度、避けてきたものと向き合ってみてください。

例えば、数字が苦手な人は、会社の売上や利益などの分かりやすい数字を把握するところから始めてもよいでしょう。営業活動に悩んでいる人は、担当のお客様に月一回必ず連絡を入れることを徹底するのも一策です。そうした一歩ずつでいいので、今年、皆さんがそれぞれの「鬼門を突破する」ことを期待しています。

3 豆知識・干支の由来

1)干支の起源

干支は身近な話題である一方、「干支とは何か?」について、はっきりと答えられる人は意外と少ないかもしれません。改めて「干支の基礎知識」を紐解いてみましょう。

干支は、「かんし」ともいわれ、古代中国に起源を持ち、年月や時刻、方位などを表す呼称とされる言葉です。干支の「干(え)」は10種類あり、十干(じっかん)といいます。

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これに陰陽五行思想を結びつけて、それぞれ陽を意味する兄(え)、陰を意味する弟(と)を当てて、次のようにも読みます。

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一方、干支の「支(と)」は古代中国の天文学で、木星の位置を示すために天を十二分した呼称を起源にしており、十二支といいます。

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さらに、十二支を動物に当てはめて次のように呼ばれるようになったのです。

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中国では、古く殷(いん)の時代(紀元前16世紀~紀元前11世紀頃)から、この十干十二支の組み合わせで年月日が数えられたといいます。これが干支の起源です。

2)干支と十二支

現在の日本では、干支は十二支と同じ意味で使われていますが、厳密には干支と十二支とは異なります。本来の干支(十干十二支)の組み合わせは全部で60通りあり、現在日本で使われている12通りの十二支とは違うのです。干支は年月日や時刻に当てられますが、日本では一般的に年に当てられて使われています。満60歳を還暦(かんれき、もしくは生まれ年の干支を「本卦(ほんけ)」と呼ぶことから本卦還りともいう)というのは、干支が1周して生まれ年の干支に還(かえ)るところからきています。

また、「甲子(きのえね)」などの言葉を耳にしたことがある人も多いはずです。この呼び方も干支からきています。

ちなみに、2021年の干支は辛丑(かのとうし)、2022年の干支は壬寅(みずのえとら)です。自分の生まれ年が干支では何年なのか、図表7で確認してみましょう。

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3)干支が表す歴史年代

古くから、干支は年月日などの時間を表す呼称として使われてきました。具体的な年がすぐ分かる干支は、歴史上の事件に対する呼称としても多く用いられています。

有名な例としては次のようなものがあります。

  • 672年 みずのえさる 壬申(じんしん)の乱
  • 1592年 みずのえたつ 壬辰(じんしん)倭乱 ※日本でいう文禄の役
  • 1868年 つちのえたつ 戊辰(ぼしん)戦争
  • 1911年 かのとい   辛亥(しんがい)革命

ちなみに、阪神甲子園球場は「甲子(きのえね)」年の1924年に完成したことから名付けられています。

以上(2020年12月)

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画像:photo-ac

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