書いてあること
- 主な読者:寅年にちなんだ話題や、スピーチなどを探しているビジネスパーソン
- 課題:関連する話題を調べたり、スピーチを考えたりする時間がない
- 解決策:過去の寅年に起きた出来事、寅年にちなんだスピーチ例を参考にする
1 寅(とら)に関する話
1)寅年に起きた出来事
2022年の干支(えと)は「寅(とら)」です。前回の寅年は、2010年(平成22年)の庚寅(かのえとら)でした。この年は小惑星探査機「はやぶさ」が宇宙から帰還し、試料の持ち帰りに成功したことなどが大きな話題となりました。
過去5回の寅年に起きた主な出来事や流行語は次の通りです。
2)寅年生まれの有名人
寅年生まれの日本の有名人には、次のような人がいます(既に亡くなられた方も含みます)。
3)とらの話
寅(とら、虎)に関する話で有名なのが、肥後(今の熊本県)の戦国武将、加藤清正の「虎退治」です。1592年に豊臣秀吉が行った朝鮮出兵(文録の役)の際に、現地司令官として朝鮮半島に赴いた加藤清正が、大事な家来と愛馬を殺されたというので、自ら槍(やり)を持って虎を退治したという話が伝わっています。
越後(今の新潟県)の戦国武将、上杉謙信も寅(虎)に縁があります。上杉謙信は1530年の庚寅(かのえとら)年に生まれたため、幼名を虎千代(とらちよ)と名付けられました。その後には景虎(かげとら)、政虎(まさとら)、輝虎(てるとら)と改名するなど、晩年に出家して謙信と号すまで、常に名前に「虎」の字を用いていたのです。
勇猛果敢な武将であるこの2人に、「虎」のイメージはまさにぴったりといえるでしょう。
2 寅にちなんだスピーチ事例
1)スピーチ事例1
政治、経済、社会、技術……私たちを取り巻く環境は常に変化しています。皆さん自身が変化に貪欲にならなければ、あっという間に時代に取り残されてしまいます。そこで、2022年は寅年にちなんで、「虎穴(こけつ)に入らずんば虎子(こじ)を得ず」の精神で、困難な目標にチャレンジしてほしいと思います。このことわざには、「虎の住む穴に入らなければ、虎の子どもは手に入らない。つまり、リスクを冒してチャレンジしなければ、成功はつかめない」という意味があります。
皆さんの中には、失敗したときのリスクを恐れてチャレンジをためらってしまう人がいるかもしれません。しかし、私はむしろ「リスクは歓迎すべきものだ」と思っています。なぜなら、リスクが大きければ大きいほど、人はそれを回避しようと必死になるからです。
例えば、虎の子どもを捕まえるなら、親の虎に見つからないよう、親の虎が寝ている時間や穴の外に出ている時間を徹底的に調べ上げるでしょう。あるいは襲われても生還できるよう、強力な武器の扱いをマスターしようとするかもしれません。仮に失敗しても、そうして身に付けた知識や技術は無駄になりませんし、ちゃんと対策を立てて挑んでいるからこそ、失敗してもその理由を分析して次回に活かすことができます。
成長しようと努力し、失敗したら真摯に受け止める。それができれば、チャレンジは必ず次の飛躍へのきっかけになります。ぜひ勇気を持って、皆さんそれぞれの「虎穴」にチャレンジしてください。
2)スピーチ事例2
部下を指導する立場の人に、ぜひ覚えてほしいことわざがあります。それは、「虎を画いて狗(いぬ)に類す」です。このことわざには、「勇猛な虎の絵を描こうとしても、画力がないと弱い犬のようになってしまう。つまり、力量不足の人が優れた人のまねをしても失敗してしまう」という意味があります。
皆さんは、自分の部下に「黙って自分のやり方を見ていろ」「自分のやり方をまねすればいい」といった指導をした経験はありませんか。こうした指導は、単純作業などでは効果的ですが、仕事内容が複雑化してくると、ただ「まねをしろ」と言われても、何がポイントなのか分かりません。
勇猛な虎の絵を描く場合だって、虎の表情、牙や爪の描き方など、迫力を出すためのさまざまなポイントがあります。ですから、部下を指導する皆さんは、ただ仕事のやり方を見せるだけでなく、仕事の難所やNG例なんかも示して、部下が「なぜ、自分のやり方をまねるとよいのか」を理解できるよう指導してください。
そして、もう1つ。皆さん自身も「自分の仕事のやり方が、本当に正しいのか」と疑うことを忘れないでください。仕事の技術や考え方は時代とともに進化しますし、皆さんよりも部下のやり方のほうが優れている面だってあるかもしれません。皆さんも今よりもっと勇猛な虎の絵を描けるよう、努力することを忘れないでください。
3 豆知識・干支の起源
1)干支の起源
年の瀬が迫ってくるとよく話題に上るのが、次の年の干支に関することです。一般的に、巳(み)年や申(さる)年など、動物の名前を当てはめたものが干支であると認識されています。
しかし、よく考えてみると「干支とは何か?」について、はっきりと答えられる人は意外と少ないものです。この記事では、あまり深く知られていない干支について、分かりやすく説明していきます。
干支(えと=かんし)は、古代中国に起源を持ち、年月日や時刻、方位などを表す呼称とされる言葉です。
干支の「干(え)」は10種類あり、十干(じっかん)といいます。
これに陰陽五行思想を結び付けて、それぞれ陽を意味する兄(え)、陰を意味する弟(と)を当てて、次のようにも読みます。
一方、干支の「支(と)」は古代中国の天文学で、木星の位置を示すために天を十二分した呼称を起源にしており、十二支といいます。
さらに、十二支を動物に当てはめて、次のように呼ばれるようになったのです。
中国では、古く殷(いん)の時代(紀元前16世紀~紀元前11世紀ごろ)から、この十干十二支の組み合わせで年月日が数えられたといいます。これが干支の起源です。
2)干支と十二支
現在の日本では、干支は十二支を指すように使われていますが、厳密には干支と十二支とは異なります。本来の干支(十干十二支)の組み合わせは全部で60通りあり、日本で使われている12通りの十二支とは違うのです。干支は年月日や時刻に当てられますが、日本では一般的に年に当てられて使われています。満60歳を還暦(かんれき、もしくは生まれ年の干支を「本卦(ほんけ)」と呼ぶことから本卦還りともいう)というのは、干支が1周して生まれ年の干支に還(かえ)るところからきています。
また、「丙午(ひのえうま)」という言葉を耳にしたことがある人も多いはずです。この呼び方も干支からきています。
ちなみに、2022年の干支は壬寅(みずのえとら)、2023年の干支は癸卯(みずのとう)です。自分の生まれ年が干支では何年なのか、下表で確認してみましょう。
3)干支が表す歴史年代
古くから、干支は年月日などの時間を表す呼称として使われてきました。具体的な年がすぐ分かる干支は、歴史上の事件に対する呼称としても多く用いられています。
有名な例としては以下のようなものがあります。
- 672年 みずのえさる 壬申(じんしん)の乱
- 1592年 みずのえたつ 壬辰(じんしん)倭乱(わらん) ※日本でいう文禄の役
- 1868年 つちのえたつ 戊辰(ぼしん)戦争
- 1911年 かのとい 辛亥(しんがい)革命
ちなみに、阪神甲子園球場は「甲子(きのえね)」年の1924年に完成したことから名付けられています。
以上(2021年12月)
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画像:unsplash