1 打ち上げ花火の大きさ
打ち上げ花火の玉の大きさは昔ながらの単位である「寸」を用いて表示されます(1寸は約3センチメートル)。2.5号玉から40号玉まであり(実際は打ち上げ用の筒の大きさに合わせ、少し小さめに作られます)、3寸の大きさのものは3号玉と呼ばれます。
花火の玉の大きさが増すと、打ち上げたときの直径も大きくなります。一般的な花火大会で打ち上げられる花火玉は2.5~5号玉で、空中で開いたときの直径は約50~150メートルです。それでも十分迫力がありますが、40号玉の場合は約750メートルと、桁違いのスケールになります。
花火を打ち上げるには安全を確保する必要があるため、花火大会で使用される花火の最大の大きさは「保安距離」によって決まります。保安距離とは、玉の大きさに合わせて、花火の打ち上げ場所から観客や付近の建物まで最低限確保すべき距離で、都道府県により規定が違っています。
都市部では建物が多くたくさんの人が集まるため、小規模な花火大会が多くなります。
2 打ち上げ方
1)打ち上げ方の分類
花火の打ち上げ方は、1発ずつ打ち上げるものからたくさんの花火を一気に打ち上げるものまでさまざまです。
-
単発打ち
単発打ちは、その名の通り、1発ずつ打ち上げる方法です。7寸以上の大玉などによく採用されます。 -
早打ち
早打ちは、1つの筒で数十玉を連続で打ち上げる方法です。 -
スターマイン
スターマインは連射連発とも呼ばれる数多くの玉を一気に打ち上げる方法で、観客にもよく知られたプログラムです。見た目が華やかで、花火大会の目玉となっています。
2)電気・コンピューターを使用した遠隔点火
かつては打ち上げ筒の間近に人間が作業して点火するのが当たり前でした。しかし、近年では安全性などの観点から、電気・コンピューターを使った、遠隔操作による点火が多く見られるようになり、広範囲の演出が可能になりました。
特にコンピューターを使用した点火器では、音楽とシンクロさせたタイミングで打ち上げられるようになり、花火の表現の幅を広げていくことが期待されています。
3 良い花火の見分け方
どんな花火が良い花火かという基本を覚えておけば、花火見物はもっと楽しくなるでしょう。ここでは良い花火の見分け方を紹介します。
-
玉の座り
玉の座りとは、打ち上げられた花火の玉が上空の最高点に達したところをいいます。玉の座りに達したところで割火薬に点火されて玉が破裂するのが良い花火とされており、これを「玉の座りが良い」といいます。最高点まで玉が上がったかどうか、玉が最高点まで昇りつめたところで破裂しているかどうかに注意してみましょう。 -
盆
玉が開いた形を盆といい、「菊」などの花火では円(丸)形が良いとされています。楕円(だえん)や形がゆがんだものは「盆が欠ける」といい、評価されません。開いたときの輪郭がはっきりしているかどうか、玉の号数に合わせた大きさに開いたかどうかを見ます。 -
星の飛び方
玉から飛び出した星が放射状にまっすぐ飛ぶのがよく、これを「肩の張りが良い」といいます。星は全てに火が付いて飛んでいくのが良いとされ、一部に火が付かなかったり、まだらに飛んでいってしまったりするものは評価が下がります。また、飛ぶはずの星が飛ばなかったり、放射線状に飛ばず、ふらふら飛んでいったりするのも評価を下げてしまいます。 -
消え口
全ての星が同時に開き、同時に色が変化し、さらに飛び散った星が同時に消えることを「消え口がそろう」といいます。 -
配色
最近の花火はさまざまな色が用いられていますが、たくさんの色を使用すればよいというものでもありません。特に小さな玉は目まぐるしく色が変化すると、開いたとき色がそろわないことが多くなります。
また、星の色合いや色の組み合わせ、変化にも注目してみましょう。色が濃くかつ明るいかどうか、色の変化が多いかどうかを見ていると、技術的な難しさや手間の入れ具合が読み取れるかもしれません。
以上(2022年9月)
pj96805
画像:totojang1977-Adobe Stock
画像:pixabay