今朝のテーマは、「皆さんの健康管理」です。これまで何度も話をしていることですが、年末のこの時期、改めてお伝えします。
特に、健康管理に関心が薄く、運動をしていない人はよく聞いてください。健康は自身だけの問題ではありません。健康を害すると、家族はもちろん、病欠に伴う業務の穴埋めをする上司や同僚にも迷惑を掛けることになります。
私は病気になることが悪いと言っているのではありません。避けられない病気もあります。ですが、日ごろから健康管理を怠るべきではないと言いたいのです。
私のお勧めは歩くことです。道具などを使う必要はなく、費用も掛かりません。何より体への負担も小さいので、無理なく行えます。例えばエスカレーターでなく階段を使ったり、目的地の1つ前の駅やバス停で降りて歩いてみたりと、自分の工夫次第で、ちょっとした時間を利用して実践できることもメリットです。
私は1日1万歩を目標に、いつも歩数計を携帯して歩いています。コロナ下で外出する機会が減っているため、歩数チェックを毎日行って歩くことを意識しなければ、目標は達成できません。私なりの新しい生活様式に、歩くことを取り入れようとしているのです。
私が歩くことで健康管理につなげようと考えたきっかけは、江戸後期に精密な日本地図を作成した伊能忠敬(いのうただたか)です。
忠敬は、当時では人生の晩年ともいえる55歳から70歳過ぎまでの約17年間かけて、全国を歩いて測量し、日本地図を作成しました。踏破した距離は、3万5000キロメートルとも、4万キロメートルともいわれています。1日の歩行距離は、40キロメートル程度に上ったそうです。
実は忠敬は、元来は体が強いほうではなく、持病のぜんそくに悩まされていたといいます。当初は測量中に発作が起きることもあったようですが、発作は次第になくなっていったそうです。歩き続けることで心肺機能が高まり、体が強くなったのかもしれません。歩くことは、何歳から始めても効果がある、という良い事例です。結局、忠敬は、当時では長命の73歳で亡くなりました。
古代ギリシャの医者で「医学の父」とも呼ばれるヒポクラテスも、「歩くことは人間にとって最良の薬である」という言葉を残しています。近年の研究では、1日8000歩歩くことが、がんや生活習慣病などにかかるリスクを低下させる、という報告もあるそうです。また、歩きなどの適度な運動には、免疫力を高める効果があるともいわれているので、風邪やインフルエンザなど、さまざまな感染症にかかるリスクを低減させることも期待できます。
私は、健康管理に努めることは、社会人としての最低限の義務だと思っています。皆さんは、そのために自分に何ができるか、考えてみてください。
以上(2020年12月)
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画像:Mariko Mitsuda