1 日本人に愛されてきた「桜」
日本に現存する最古の歌集である万葉集にも桜を詠んだ歌が残されており、古くから人々の生活の中に桜があったことが分かります。
しかし、当時、桜より好まれていたのは、現在の中国より伝来した梅でした。
平安時代に入ると、支配者階級の儀式などで桜が好まれるようになりました。そして812年、嵯峨天皇(さがてんのう)が行幸した平安京の神泉苑において、日本で初めて天皇の観桜の宴が行われたといわれます。その後、桜をめでるという習慣は宮中から公家や武家、そして庶民へと広がり、桜は春の花の代名詞となります。
以来、日本人と桜の間には特別な関係があります。この記事では、桜の基礎知識として「桜の種類」について紹介します。
2 意外と知らない「桜の種類」
桜は、主に北半球の温帯に広く分布しており、中でも日本列島には多くの種類が見られます。
植物学上、サクラはバラ科サクラ亜科サクラ属に分類されます。日本には、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラなど9種を基本にして、変種を合わせると100種以上のサクラが自生しているといわれます。
日本における桜の保存、育成、普及などを目的として設立された「日本さくらの会」によると、桜の種類は次の通りです。
これらを基に、さまざまな桜が誕生しました。例えば、現在、全国の至る所で見ることのできるソメイヨシノは、オオシマザクラとエドヒガンの交配によって誕生したと考えられており、江戸時代末期から明治時代にかけて生み出されたといわれます。
なお、冒頭に述べたように、一般的に桜は春に咲くイメージが強いですが、中には秋から冬にかけて咲く桜もあります。例えば、フユザクラは9月〜12月と2〜3月の2度にわたって花を咲かせます。
以上(2023年3月)
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