1 書くためのプロセス

文章を書く全体の流れを把握すると、いつ何をすればよいかがイメージできるようになります。書くためのプロセスは、文章の長さや内容、形式などによっても異なりますが、この記事では数百字から2000字程度の短い文章を書く場合のプロセスを想定しています。

文章を書くときの全体的な流れは次の通りです。

<全体的な流れ>

●文章を書く前の準備・書き始める

  • 1.持っている事実を整理する
  • 2.問いを立てて、書きたい結論(主張)を決める
  • 3.構成案を作り、それに従って書く

●書いた文章を直す

  • 4.読み返して直す(文法中心)
  • 5.読み返して直す(表現中心)

このプロセスはいつも変わらないものではなく、書く目的や内容、文章の長さによっては省略することもあります。

この記事では、この文章を書くときの全体的な流れのうち、「書いた文章を直す」について紹介します。ただし、本稿では概要だけの紹介にとどめ、より詳しい方法に関心がある方は、記載する参考文献をご確認ください。

2 読み返して直す(文法中心)

読み返して直す

結論、前提、推論を整理してから書き始めれば、単なる自分の主観だけではなく、客観的な論理で裏打ちされた文章になります。

そこから文章をさらに磨かなければならないのはなぜでしょうか。一つは、純粋に読者のためです。せっかく自分の文章を読んでもらえるなら、喜んでほしいと思うのは自然なことです。

また、取引先に送った見積もり金額など、誤ってはいけないミスもあります。ミスを防ぎ、文章を読みやすくするため、文法をチェックする具体的なステップは次のようになります。

  • ステップ9:表現の重複をなくす
  • ステップ10:文章の構造をチェックする
  • ステップ11:句読点で意味をとりやすくし、リズムをつくる
  • ステップ12:改行や漢字ひらがなで視覚的なバランスを整える
  • ステップ13:もう一度事実確認をする
  • ステップ14:全文を読み直す

これらのステップは、概念的にルールを理解するよりも、実際の文章から問題のある箇所に気付き自分で直す練習が必要です。

参考となる書籍は次の通りです。関心のある人はぜひご覧ください。

【参考文献】

  • 『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ』(唐木元、インプレス、2015年8月)
  • 『【新版】日本語の作文技術』(本多勝一、朝日文庫、2015年12月)

3 読み返して直す(表現中心)

ここでの表現とは、読者を引きつけて楽しませるものです。ただし、詩や小説などの文学的な作品に書かれているような「名文」や「うまい文章」である必要はありません。読者に分かりやすくするためのステップは、次の通りです。

  • ステップ15:この文章でしか読めないエピソードを入れる/活かす
  • ステップ16:伝えたい話を的確に表現する例え話を作る

自分の表現力でオリジナリティーを出すには、普通根気強く訓練する必要があります。しかし、テーマに合ったエピソード(インタビュー、独自コメントなど)を調べるのは、やる気があれば技術はさほど関係ありません。

また、扱う話題が抽象的だと、読者はなかなかイメージできず理解できません。例え話は、その分かりづらさを補い、読者の理解を高めてくれる方法です。

例え話を作る技術、文章力を磨く考え方などが書かれた参考文献は次の通りです。

【参考文献】

  • 『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』(山田ズーニー、PHP新書、2001年10月)
  • 『哲学思考トレーニング』(伊勢田哲治、ちくま新書、2005年7月)
  • 『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング できるビジネスシリーズ』(唐木元、インプレス、2015年8月)
  • 『【新版】日本語の作文技術』(本多勝一、朝日文庫、2015年12月)
  • 『取材・執筆・推敲――書く人の教科書』(古賀史健、ダイヤモンド社、2021年4月)

以上(2023年7月更新)

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画像:thodonal-Adobe Stock
画像:pixabay

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