社長として、そして人間として成功するには「素直さ」がとても大切だと思います。素直さは謙虚さにつながります。多くの社長を見てきてつくづく感じますが、成功している人は自分の芯をしっかりと持ちつつ、根本のところで素直で謙虚です。松下幸之助さんも、「人が成功するために一つだけ資質が必要だとすると、それは素直さだ」という趣旨のことをおっしゃっています。
1 素直さが成功の一番の根本
私の仕事は、人の成功をサポートすることです。社長の中には大成功した人もいますし、残念ながら会社を潰してしまった人もいます。ただし、成功した人も失敗した人も性格的にはそれほど大きく違わないのです。
根本的に違うのは、失敗した人は、素直さや謙虚さがなく、他人の話を聞かないのです。
2 部下の話にメモを取っているか
皆さんは部下の話にメモを取っていますか。例えば、講演会や上司の話には、大抵メモを取ります。そこでメモを取れない人は、そもそも芽がない人です。一方で、部下の話をメモに取ることができない上司が少なくありません。素直さ、謙虚さを知らず知らずのうちに失っているからです。
部下の視点で考えてみれば、自分の話を上司がメモしてくれているのを見たらうれしいものです。また、上司の立場からも利点があって、後々に「言った」「言わない」という初歩的なトラブルがなくなります。メモに証拠が残っていますから、「○月○日に、君はこう言ったよね」と事実確認をすることができます。
謙虚さとはそういうこと。立場が変わっても、同じ目線でいつも物事を見られるということなのです。社長はもちろん、コンサルタントもそうですが、どこへ行っても「社長」と呼ばれ、「先生」と呼ばれます。すると、気付かぬうちに目線が高くなりがちです。
ですから私は、お客さまには「先生」ではなく「小宮さん」と呼んでいただくようにお願いしています。いつも同じ目線、対等な目線でいたいからです。
社長も同じです。偉いから社長なのではなく、そういう役割なのです。ところが、会社の業績が良いと人は傲慢になりがちです。相手が“お金に頭を下げている”のが分からなくなり、自分が偉いからだと勘違いしてしまうのです。
「実るほど頭の下がる稲穂かな」ではないですが、素直さや謙虚さをなくしてしまうと、物事が正しく見えなくなります。
私には、失敗する人のほとんどは自らそうした道を選んでいるように見えます。しかし、本人はそれに気付いていません。一方、成功する人に共通するのは、小さな気配りや行動を徹底できる点にあります。そして、いつまでも初心を忘れず、素直で謙虚な気持ちを保つベースがあるのです。だからこそ、部下もついてきます。
3 素直の「3つのステップ」、見えていますか?
では、どうすれば社長は「素直さ」を持つことができるのでしょうか。私は、素直さを自分のものにするための「3つのステップ」があると考えています。
第1のステップは、「聞く」こと。相手が言っていることを、受け入れる姿勢を持つことです。とにかくまずは受け入れて、自分の中で良いか悪いか、やるかやらないかを判断するのです。
中には頑なな人もいて、そういう人は相手の話を受け入れる前に目の前ではじき返してしまいます。どんなに頭の良い人でも、他人の意見を受け入れない人は、自分の殻を破れず、他人の知恵を生かせないのです。さらには、他人の意見を聞かないと、人は徐々に話をしてくれなくなり、どんどん離れていきます。
第2のステップは、「良いと思ったことは、やる」ということ。分かったような顔をしているけれど、実際にはやらないという“聞いたフリ”は良くありません。
もちろん、何でもかんでもやる必要はありません。相手の話を受け入れ、その上で自分の価値基準に照らして「良い」と思うものはそのまま受け入れ、リスクの高いことは、じっくり考えた上で判断すればいいのです。そのためには、社長は普遍的な価値観を持っていなければならないことは言うまでもありません。いけないのは、よく考えることもせずに、行動だけを先延ばしにする姿勢です。
最後の第3のステップは、「やり続ける」こと。結果が出るまで、とにかくやり続けてください。本当に良いことは、一生やり続けるのです。とにかく良いことを続けることが大切です。
いずれにしても、私も含めて常に自分が素直であるかを反省することが大切だと思います。
以上
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