【ポイント】
- 仕事は自分の思い通りに進まないのが普通。自分以外の人が関わってくるとなおさら
- 相手に腹が立つときこそ、こちらにも何かしら反省すべきことがあるはずと考える
- ビジネスパーソンとしての成長は、謙虚になれるかどうかにかかっている
皆さんは日々仕事をしていて、「何だかうまくいかないなぁ」と思うことはありませんか。ビジネスとは思い通りにはいかないもの、自分以外の色々な人が関わって仕事が進んでいくのですから、それが普通です。ただ、重要なのは、そこで「相手が悪い。自分はちゃんとやっているのに」と文句を言って終わるのか、それとも「どうすれば一緒に、円滑に仕事を進められるか」を考えて行動に移せるのか、です。私自身の経験を1つお話ししましょう。
以前、ある取引先から大きな仕事を頼まれたことがありました。当社にとっては少しハードルの高い仕事でしたが、お得意様ということもあり、相手の要望を上回る内容とスケジュールで仕上げました。ですが、ここで問題が発生します。相手側の都合で、その仕事が一からやり直しになってしまったのです。しかも、相手はこちらに対して悪びれる様子を見せません。「無理をして相手の要望を上回る仕事をしたのに、お詫びの言葉ひとつないのか……」と、正直、最初は腹が立ちました。
しかし、そこで私はハッとしました。「これが、相手の当社に対する正直な評価だ」と気付いたのです。こちらは大切なお客さまだと思っているけれど、相手にとって当社は、残念ながら「いつも頑張ってくれているのに、やり直しになって申し訳ない」と心から思えるような会社ではなかったのです。おそらく「それまでの良くない積み重ね」があり、当社に対する評価が低くなっていたのでしょう。この出来事はむしろ、相手の当社への気持ちを如実に表しているアラートであり、もっと相手に寄り添った対応をしていかなければならないという、重要かつ危険な局面だったのです。
皆さんは今の話をどのように受け止めますか。なぜか相手と歩調が合わない、反応や考えが全く違うというようなときは、きっと理由(わけ)があります。「相手が悪い」と腹が立つこともあるでしょうが、大概こちら側にも何かしら反省すべきことがあるものなのです。
「何だかうまくいかないなぁ」と思うシーンでこそ、皆さんの力量が問われます。そんなときこそ、「なぜうまくいかないのか」「どうすれば一緒に、円滑に仕事を進められるか」を考える癖をつけてください。ビジネスパーソンとしての成長は、仕事がうまくいかないとき、皆さんが謙虚になれるかどうかにかかっています。
以上(2025年4月作成)
pj17212
画像:Mariko Mitsuda