書いてあること

  • 主な読者:朝礼などでスピーチする際のテーマを探している経営者
  • 課題:スピーチにふさわしいタイムリーなテーマが見つからない
  • 解決策:2022年の記念日や行事を題材にしたスピーチを行う

1 記念日や行事を題材に、タイムリーかつ練ったスピーチを

朝礼などでのスピーチで取り上げやすい題材として、次のようなものがあります。

  • 記念日や行事
  • 時事ニュース
  • 偉人や著名人の名言・格言

この中でも「記念日や行事」は、時事ニュースと同様にタイムリーでありながら、偉人の名言などと同様に事前に準備しておくことができる、という2つのメリットを備えています。

そこでこの記事では、2022年1月~12月の記念日や行事の例と、それを盛り込んだスピーチ例を紹介します。ぜひご活用ください。

2 2022年のスピーチで使える記念日や行事

2022年1月~12月の記念日・行事とスピーチのテーマ例は、次の通りです。

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3 記念日や行事を活用したスピーチ例

1)1月の例:「八甲田山の日」を活用した例

新しい年を迎えて心機一転、明るく前向きな気持ちになっている時期ですが、今日はあえて、今から120年前に起きた厳しい出来事のお話をしたいと思います。今年1年間、「地に足をつけてしっかりと歩んでいこう」というメッセージを皆さんにお伝えしたいからです。

今から120年前の1月23日、青森県の八甲田山で、雪中の行軍訓練に参加した陸軍の部隊の将兵210人のうち199人が亡くなるという大変な事故が発生しました。

一説には、八甲田山の行軍訓練では、防寒のための装備や補給体制などが十分でなかったといわれています。予行演習のときには晴天で順調に行軍できたため、安易に考えてしまったようです。また、天候の悪化を懸念した地元住民からの中止を勧める声を聞かず、道案内も断るなど、情報収集などの点でも問題があったとされています。

ビジネスでも同様に、物事が順調に進んでいるときこそ、その先にどのようなリスクがあるのかを意識することが大切です。特に現代は先行きが不透明で、想定外の事態が起きることも少なくありません。可能な限り、事前にさまざまな角度から調査をしておき、最悪の事態も想定した備えを怠らないようにしましょう。十分な準備ができているという安心感があると、思い切ったチャレンジもしやすくなります。

2)3月の例:「世界気象デー」を活用した例

今日は、世界気象機関が制定した「世界気象デー」です。

昨今、地球環境の悪化を原因とする気候変動のリスクが盛んに論じられています。企業にとっても、気候変動リスクを開示する動きが広がってきており、「対岸の火事」では済まされない問題です。

私たちは、ビジネスパーソンとしても、地球上に住む一人の人間としても、気候変動の問題に関心を持ち、問題の改善のために行動しなければなりません。今や、自分や一社の企業の都合だけで物事を考えていては、立ち行かない時代になってきているのです。

これは、会社経営についても当てはまることです。「我が社の商品が売れるにはどうすればいいか」という発想を抜け出し、「世の中に必要な商品を、我が社はどのようにすれば便利かつ手ごろな価格で供給できるのか」という視点で考えるようになりましょう。そうすれば、結果的に我が社は世の中にとって必要不可欠な存在として認められ、一人ひとりが誇りを持って仕事ができるようになります。それが経営の安定にもつながるのです。

3)5月の例:「東京スカイツリー10周年」を活用した例

皆さんもご存じの東京スカイツリーは、今日で開業10周年を迎えました。東京スカイツリーの高さは634メートルで、2012年に完成したときには、自立式の電波塔としては世界一の高さを実現したことでも話題となりました。

建設に当たっては、地震の多い日本で高さ634メートルのタワーの安全性を確保するために、当時の最先端の技術を駆使し、上空の風の動きや、地下約3キロメートルまでの地層構造の調査をしたといいます。また、五重塔の制振システムなど、日本古来の技術も活かされているそうです。世界一の高さを実現した背景には、建設に携わった人たちの努力があるのです。

実は当初のプロジェクトでは、東京スカイツリーの高さは約610メートルにする予定だったそうです。ところが、中国でも610メートル程度の電波塔を建設する計画が浮上したため、高さ世界一を確実にするために当初の予定を変更したといいます。

皆さんの中には、「2番でもいいじゃない?」と思う人がいるかもしれません。ですが、「世界一」であることによって、今でも東京スカイツリーの高い価値は保たれ、建設に携わった人たちの誇りにもなっているのです。

私たちの会社も、世界一を目指しましょう。もちろん、規模や売り上げでは遠く及びませんが、「社員が幸せを感じている強さ」や「お客さま満足度」などでは「世界一」を目指せます。

4)8月の例:「即席ラーメン記念日」を活用した例

皆さんの中には、即席ラーメンが好きな人も多いでしょう。私も小腹が減ったときについつい食べてしまいますし、非常食としても保管しています。

8月25日は「即席ラーメン記念日」で、日清食品創業者の安藤百福(あんどうももふく)さんが発明した、世界初の即席ラーメンが発売されたことを記念しています。1958年のことですので、今から60年以上前のことです。

安藤さんが即席ラーメンの開発を始めるヒントになったのは、戦後の闇市のラーメン屋台に長蛇の列ができていたのを目にしたことでした。安藤さんは、「人の集まるところには、需要が暗示されている」と考えたそうです。

これは、ビジネスの基本だと思います。今はリアルな世界だけではありませんが、人々の関心があるところには、必ずビジネスチャンスが埋もれているものです。仕事に直接関係のないところでも、仕事に役立つヒントは得られるものです。常に周囲の人たちの関心に興味を持ち、仕事に役立つヒントがないかを探るアンテナを張るように心掛けてみてください。

5)10月の例:「鉄道開業150周年」を活用した例

1872年10月14日に新橋・横浜間(29キロメートル)で、日本初の鉄道が開通しました。まだ明治5年のことで、鉄道の計画自体は明治2年の段階から決定されていたといいます。

廃藩置県が明治4年、廃刀令が明治9年のことですから、「明治維新」の中でも鉄道の開通は非常に早かったといえます。まだ財政的にも安定していない中で、薩摩藩や軍部なども時期尚早と反対して土地を売却しなかったため、海中に堤を築いて線路を敷いたという経緯があります。沿線の住民も、事故への懸念などから反対する声が多かったといいます。

それでも明治政府が鉄道の早期開通を急いだ理由の一つは、多くの人に、目に見える形で新時代の到来を象徴するものを示したかったからだともいわれています。東京から京都まで結んでから開業するという選択肢もあった中で、まずは横浜までを優先して開通させたのも、そうした背景があったようです。幕末の黒船到来で人々が大きな衝撃を受けたように、鉄道の開通で新たな衝撃を与えたかったのかもしれません。結果として、鉄道は日本の近代化の象徴的な存在になりましたし、その後も民間も含めた新線の開設が相次ぎ、産業の発展に大きく貢献することとなりました。

何事も、新しいことに取り組むときには、反対がつきものです。ですが、まずは小さなところからでもいいので、とにかく始めてみましょう。私はそうした取り組みを全面的に応援します。成功事例を目の当たりにすれば、それまで反対していた人の意識も変わってくるはずです。

6)12月の例:「シーラカンスの日」を活用した例

今から70年前の12月20日、アフリカのマダガスカル島沖でシーラカンスが捕獲されました。それ以前にシーラカンスは発見されていたのですが、初めて学術調査が行われたことにちなんで、この日がシーラカンスの日とされています。今日はシーラカンスのことについてお話しします。

シーラカンスは、3億5000万年前の化石とほとんど姿が変わっていないため、「生きた化石」と呼ばれています。6500万年前に絶滅したと思われていましたが、現在でもアフリカやインドネシアなどで生存しています。シーラカンスが絶滅しなかった理由は、深海という安定した環境に生息していたからといわれています。シーラカンスの仲間は深海以外の川などでも生息していたそうですが、そうした種は絶滅してしまいました。

私たちの会社を永続させるということを考えると、安定して生命をつなげられる環境を見つけたシーラカンスには、見習うべき点もあります。しかし、逆の見方をすると、現存するシーラカンスは、他の種に進化しなかった、むしろ「進化できなかった種」だともいえます。

我が社の環境は、景気の影響を受けやすく、競争も激しいので、環境が安定しているとは言えません。シーラカンスのように、深海というブルー・オーシャンを見つけることも大事ですが、レッド・オーシャンで生き残るための進化も重要だと思っています。来年は、今までの我が社のやり方に固執せず、柔軟に変化していく気概を持っていきましょう。

以上(2021年12月)

pj10019
画像:photo-ac

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