年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、松林大輔さん((株)ストリートスマート社 代表取締役)です。

働き方改革元年と言われた、2017年に第1回の【働き方を考えるカンファレンス】を設立1年未満の一般社団法人が開催し、大いに、良い意味で波紋、波及効果を招いた団体が、at will work。その代表理事が松林さんです。
このカンファレンスも今年4回目、予定通り開催されようとしていました、2日前までは。しかし、当日は新型肺炎の影響下、カンファレンス会場の虎ノ門ヒルズには関係者のみ、会場を埋め尽くすはずの聴衆のみなさんはオンラインでの参加、オンラインカンファレンスという新たな発信を見事にやりきった、松林さんに、団体のこと、カンファレンスのことについて話を伺いました。

●at Will Work
●カンファレンスサイト

本文の前に、私自身のテレワークに関してお話しておきたいと思います。
フリーランスになって6年目、独立当初からカフェが事務所、仕事場であり応接、面談場所、テレビ会議の場所、東京・大阪を行き来しながら、安価にもしくは無料で活用できるITツールのZoom、whereby、Chatwork、G Suite等々を駆使して時間場所を気にしない、不自由さを感じない、まさに意志を持った働き方(at will work)を体現できていると思っています。さらにここ最近、私が主催するイベントや研修会では、You Tubeライブを活用して場所にこだわらない配信も2年ほど前から実践しています。私自身からするとこのテレワークに騒いでいる世間には今更感を感じています。
写真の通り、

今回のインタビューも実はテレビ会議で大阪にいらっしゃる松林さんと東京にいる私とをつないで行っていました。テレワークによる恩恵も享受、理解しておりこのラクチンな働き方の動きはもう後戻りはしないと思います。

1 一般社団法人at will workのこと概要と活動について

1)2016年発足当初のこと

at will workの発足について、お伝えしておきたいこと。それは松林さんが起業した会社、(株)ストリートスマートの事業内容が大きく影響しています。同社は、Google社のクラウドツールであるG Suiteを企業や学校に導入支援することを大きな柱としています。その事業活動自体が、働き方の変革を先取りしたものであり私自身もその恩恵を大きく享受している一人です。この事業を通じてGoogle社とも近しい関係にあり、Google社が世界的な活動として展開していたのが、Womenwillの活動でした。そこに松林さんも賛同し、私も応援させていただき、大阪でのイベントは会場を私が提供させていただくお手伝いをいたしました。そのGoogle側の中心人物だった藤本さんが、女性のみに囚われることなく、性別、職種、多様な働き方全般にアクセスできるような団体の構想をもった時に、社内での活動に限界を感じ、新しい枠組み創設する、その実現のためにat will work設立に至ります。
このあたりの詳細は、当時の記事を参考までに。藤本さんの記事はこちらです。

2)2017年1回目のカンファレンスを開催 ヒヤヒヤしかし神風が吹きました

3年前に1回目のカンファレンス、その時、鮮明に覚えているのが開催1ヶ月ほど前の時点で、松林さんからの連絡でした。それが、『杉浦さん!開催まであと少しなのに参加申込みが100名にも到達していません!やばいです。。。』というもの。結果から申しますと、600名のカンファレンスルームが満席になりました。
それが開催前月の日経ほか、政府、首相の働き方改革断行の年であるという堅い意思表示によるものでした。
2017年初めの記事はこちらです。この発表のあたりから一気に参加申し込みが殺到し、設立1年未満の団体でありながら虎ノ門ヒルズのカンファレンス会場が満席となりました。
当日は50名を超えるスピーカー、当時経産大臣だった、世耕さんまでお越しいただいて盛り沢山な一日でした。
【人と企業の「これからの働き方」や「理想の働き方」を考え、実現する】をテーマに開催に至りました。
当日の詳細はこちらをご覧ください。
開催翌日には、団体の背中を押すような記事も出てますます活動に勢いがでました。日経の記事はこちらです。

3)活動を通じて発信してきたこと 変化への気付き

at Will Work が目指すのは「働き方の選択肢がある社会」。そこを、当初から5年間限定での活動と決めて運営しているのも大きな特徴に思います。時代が変わろうとうするところに固執しないで変化を創出できれば自分たちの活動は終わりを迎える。潔い、心地よい活動と思います。2017年以後のテーマと特徴を以下に。

・2018年→「働くを定義∞する」 詳細はこちらです。

個人だけではなく会社もまた様々。歴史を紡いできた会社もあれば、新しく産声をあげたばかりの会社もあります。人と同じように、また会社も様々なのです。そこには多くの”ものさし”が存在しています。その”ものさし”は決して一つだけではありません。だからこそ自分が持っている”ものさし”と違うと戸惑い、不安になるのではないでしょうか。at Will Work が目指すのは「働き方の選択肢がある社会」
それは個人も、会社も、社会にも選択肢があることを指しています。その選択肢は実に様々なのではないでしょうか。そして同時に、働き方自体も様々であると私たちは考えます。(サイトから)

・2019年→「働くをひも解く」 詳細はこちらです。

2019年のカンファレンスは、5回実施するat Will Work の真ん中である3回目になります。これからの働き方を考えていく中で、“だからこそ”大事なことは今までの働き方を知ることだと考えました。新しいことだけを追い求めるのではなく、続けていくこともあるはず。例えば、リモートワークやフリーアドレス、WeWorkなどの新しいオフィスの形態が増えていますが、そもそも“オフィス”はなぜ必要だったのか、どのような歴史を歩んできたのか、その歴史をひも解くことによりオフィスのあり方を考えていくことができるのではないでしょうか。(サイトから)

働くと経営課題の画像です

・2020年→働くと経営課題~ 企業の経営戦略・実践のリアルから学ぶ~」 詳細はこちらです。

リモートワークやフリーアドレスなどの新しいオフィスの形態が増えていますが、それらは本当にマネジメントにおける課題解決に繋がっているのか、また繋げていくにはどのようにしていくのがいいのでしょうか。
そのような経営課題に直結する働き方のテーマについて実際の現場でどのように取り組みが行われているのでしょうか。2020年のカンファレンスでは「働き方改革関連法」「マネジメント」「働く場所の柔軟性」「データで見る働き方改革」「人材難への対応 」などのテーマに、これらの課題に真剣に取り組む経営者の皆様から学び、次の新しい世界をどうやって創っていくのか、様々な角度から考えるカンファレンスを実施したいと思います。(サイトから)

4)過去4回の開催から松林さんが感じたこと気付いたことをお聞きしました。

政府が働き方改革という言葉の発信を開始してからはや4年が経過しましたが、2019年から関連の法案も施行され始め、ようやく企業においての取り組みが大企業を中心に始まってきたなと感じています。働き方改革推進の取り組みにおいて、初回開催した時はどういう方向性で実施していくかという情報収集のレベルでしたが、制度設計についての相談、取り組みで出てきた課題についての相談などの具体的なお話が増えてきたと感じています。
今後はより実践的なレベルでの事例の共有などがこれまで以上に世の中に求められてくるのではと考えています。

2 オンラインカンファレンス開催を実践してみる

1)カンファレンス2日前にオンライン開催を決定

今年のカンファレンス、開催日まで1週間前、松林さんと話す機会がありました。その時、『来週は予定通り開催します、入り口でマスクを配布し、アルコール消毒液を常備して。』という感じでしたが、その後カンファレンス終了後のネットワーキング(交流会)パートの中止、お昼のお弁当の配布も中止となっていき、ついに開催2日前にオンラインによる開催が決定しました。

カンファレンス風景の画像です

【当日のカンファレンスの風景】
決定と同時に参加申し込みの皆さんに発信されたメッセージは以下です。

【カンファレンスをオンライン配信にて実施致します】
当カンファレンスは公式発表のタイムテーブルどおりに開催致しますが、すべての参加者の皆様にオンライン配信にてカンファレンスのセッションを視聴いただく形に変更致します。そのため、会場にはお越しいただけませんので、ご理解いただけますと幸いです。(オンライン配信の閲覧は、チケットをお申し込み頂いた方限定です)

オンライン視聴の方法につきましては、当カンファレンス開催時刻の2020年2月20日10:00までに、チケットお申し込み時にご登録頂いたメールアドレスに、カンファレンスの様子をご視聴いただける動画の限定URLを送付させて頂きます。(動画配信はYouTube Liveを予定しております)

※動画配信における禁忌事項について
カンファレンス動画に関しましては、転送禁止、録画・撮影や保存の禁止、チケット購入者以外の動画の閲覧はご遠慮ください。禁忌事項に関する違反が発覚した場合には、法的処置を取らせていただく場合もございますのでご注意ください。

【カンファレンスの録画映像を期間限定で公開します】
上記のリアルタイムでのオンライン配信に加えて、カンファレンスの映像を1週間の期間限定で録画配信させていただく予定です。こちらの詳細につきましても後日ご連絡差し上げます。(こちらのカンファレンス映像につきましても、閲覧はチケットをお申し込み頂いた方限定です)

※リアルタイム配信はネットワーク環境により、見られないなどの可能性もありますので、その場合は録画配信でご覧ください。一部、リアルタイム配信と録画配信で内容が異なる場合があります。

以上です。

【当日の配信画面】
映像は約3種類。登壇者、スライド、そしてその組み合わせです。下記の様な形で表示されます。

当日の配信画面の画像です

背景は黒と白、またはその中間から選べるのですが今回白背景のスライドがほとんどだったので、コントラストをはっきりさせるために黒にしました。またスライドが見えやすい様に並べていますが、これも真横にしたり大きさを変化させたり、スライドの中にワイプ(テレビでよくみるスタジオの方の様子が見える様に抜くやつですね)でも表示できます。いくつかテストした結果、この比率と位置(こうすることでどこを見ればいいか迷わない箇所)に決定しました(代表理事の藤本さんの“オンライン配信”でのカンファレンス開催の選択肢とはより抜粋)。

無事に配信でのトラブルもなく、視聴された方々からも好印象の評価を得て終了できました。
開催報告についてはこちらを御覧ください。

2)オンライン開催が全て有効だとは言えない

トークセッションが主体のこのカンファレンス、すごくわかり易い表現を松林さんが話されたのが、視聴者がテレビスタジオに集まって番組を配信して臨場感がある、スタジオに参加した人が普段のカンファレンス参加者、テレビを見ている人が今回の配信を視聴している感じ。今年に限って言えば、スタジオ参加者のいない中での対談番組が配信されているイメージ。
テレビ局でしか出来なかったことが、現在は、簡易カメラ、パソコンとWi-Fiさえあれば最低限の放送局ができてしまうという時代、YouTuberの存在からもオンラインカンファレンスのハードルが実は低かったという感想をもちました。
しかし、全てオンラインに置き換わるか? そこはそうでも無いと感じます。
ピッチのような【ライブ感】が命のような場面、その場にいることが大きな意味をなすものについては、オンラインのみでは伝わらないのも同じ。これも過去からのテレビ番組の構成と親しいと思います。
オンラインに向くもの、向かないものこれを使い分けることが大切と感じます。
今回のカンファレンスでオンライン配信の裏方として大活躍されたHOT SCAPE社前野さんも当日早速、オンライン配信についてのコメントを発信されています。こちらを御覧ください。
その翌日にも【新型コロナウィルスに対するイベント開催(LIVE配信を終えて)】をコメントされています。

3)カンファレンスその後について

このカンファレンスの成功を自分たちだけのノウハウとするのではなく、早速に【オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベント】と題して、3月6日に開催、このスピード感もオンラインだからこそですね。
またこのイベントの様子も、You Tubeにてご覧いただけます。是非、オンラインカンファレンスにご興味ある方にはご覧頂きたいと思います。オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベントの動画はこちらです。
松林さんからは、展示会もオンライン化し始めていると教えてもらいました。ユーザベース社のオンライン展示会についても御覧ください。
時間と場所の制限を外す、情報を伝える部分だけをオンラインで、人と人とのコミュニケーション、ネットワーキングはオフライン、リアルイベントは無くならないし、必要であると思います。オンとオフの組み合わせでさらに人と人のコミュニケーションの向上に繋がる社会へと変化していくと感じます。

4)最後に松林さんからのメッセージを

私たちにたくさんの相談が来ていることを考えても、イベントや展示会などのオンライン配信化はこれまで以上に加速していくと思います。企業データのクラウド化も促進され、テレワークなどの働き方の選択肢もさらに広がると思います。杉浦さんがおっしゃるように全てがオンラインに切り替わることはないので、オンライン・オフラインをうまくバランスよく活用するということがあらゆる組織において求められることとなる時代になりました。やったことのないことに取り組むことは大変だと思いますが、失敗を恐れてやらないのではなく、改善しながらチャレンジしていく風潮に世の中が変わり働き方がよりよく変わっていくことを願っています。

働き方にも通じたこの団体の活動概要と共に、オンラインカンファレンスのあり方についてリポートいたしました。

働くと経営課題の画像です

以上(2020年3月作成)

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