事業ビジョンテーマ:すべては「本物のおいしさ」がもたらす、「人々の笑顔」を創造するために ~笑顔創造業~
「本物のおいしさで笑顔をつくる。」
香川県三豊市に本社を構えているサヌキ畜産フーズ株式会社は、冷凍トンカツをはじめとする食肉加工品の製造を通じて、”日本一のトンカツ工場”を目指していらっしゃいます。
事業ビジョンとして掲げる「笑顔創造業」という思いを軸に、OEM事業を中心に全国へと展開されています。
今回は、代表取締役社長 増田 浩氏にお話を伺い、食への情熱や企業としての哲学を感じる言葉の数々に触れることが出来ました。
■「トンカツで日本一へ」38歳の社長が導かれた15年間の挑戦と成長
「トンカツをつくっています」
そう語る増田社長の背後には、日本一のトンカツメーカーを目指した15年の奮闘と戦略がございます。
社長に就任されたのは2010年。当時38歳でいらっしゃった増田社長は、売上高40数億円規模の会社において「グループで100億円を目指す」という目標を掲げられ、周囲の懐疑的な声にも屈することなく、ビジョンを形にしてこられました。実際、2025年6月期には109億円を達成され、全国トップクラスの実績を誇る企業へと成長されました。
工場の新設や改修を経て、現在の冷凍トンカツ類の生産力は月間600トン(工場全体で月間1200トン)。競合他社の700トンに迫る水準となっており、今秋以降には720トンの達成を目指しておられます。驚くべきことに、この挑戦は「残業時間の削減」という制約の中で計画されております。
■雇用と賃金へのご対応
採用に対しては多額の予算を投じてこられましたが、成果はハローワーク経由の採用に軍配が上がっております。「求人広告は広告ではなく、採用ブランディングであるべき」とお話になり、最低賃金引上げの議論にも積極的な姿勢を示していらっしゃいます。
「利益を出した分だけ社員に還元する」という方針のもと、経常利益の一定割合を賞与として分配されており、賃上げについても継続的な取り組みを続けておられ、社員の定着率向上やブランド力強化を目指されております。
■業界を牽引する存在へ
近隣のトンカツメーカーを加えた冷凍トンカツ類の製造数は全国の約3割となり、地域とともに成長されながら業界全体の活性化を使命として取り組まれています。「自分たちがリードしなければ業界は動かない。だからこそ挑戦し続けたい」と語られるその姿勢からは、確固たる信念と責任感がうかがえます。
変化の時代を生き抜くために ――地方からのDX挑戦
■「任せる」経営と熱意が導くデジタル改革の現場
「怖いからといって避ける時代ではない。やることがあるって、実は会社にとっては”いいこと”なんですよ。」
増田社長が熱く語られるのは、デジタルの可能性と現場への信頼です。ご自身で最先端の情報を取り入れられ、DXワークショップを開催された背景には、会社を”次の段階”へ進めたいという明確な意志が感じられました。
「経営は”任せる”ことが重要」と語られる社長は、現場に自由度を与え、自律的な取り組みを支援することで、無理なくデジタル化を推進されています。
その一方で、「放任ではなく、信頼して任せること」への葛藤や工夫も感じられます。「やることが立派なら、黙って応援する。部下にも任せているし、細かく言わなくてもわかってくれる」とのお言葉からは、現場との信頼関係がDX推進の土台であるとお考えであることがわかります。
「メールの書き方ひとつでも、必要かどうか考えることがある。社外の方へメールで”お世話になります”や社内へのメールでの”お疲れさまです”という挨拶言葉はメールの冒頭には必要かもしれないが、それを簡素化できないか?しかし、その反面挨拶はきっかけとして重要である。そういう意味では挨拶を通じた関係づくりというのは、DXにもつながっているんじゃないかな」(増田社長)
社長のお言葉には、人と人との関係性をデジタルと融合させようとされる姿勢が感じられました。
「AIやロボットで資格や仕事が変わって、様々なことが便利になっても、トンカツのおいしさは変わらない。味覚や食感など人が感じるおいしさはずっとアナログであり、10年後も美味しいトンカツは、きっとおいしいまんまなんです。」(増田社長)
最先端技術と普遍的な価値を融合させながら、食品業界の未来に挑んでおられるお姿に、多くの企業が共感されつつあります。
以上(2025年8月作成)
画像:徳島大正銀行