1 なぜ、業務マニュアルを作成するのか?

皆さんの職場では、業務がマニュアル化されているでしょうか? もし、マニュアルがない場合、次のようなときに苦労をした経験はありませんか?

  • 本来の担当者が病欠のため、そのフォローをしなければならない
  • 新入社員に作業手順を早く習得してもらいたい
  • 異動・退職に伴い後任者へ業務を引き継がなければならない

こうした事態を改善するために、この記事では、業務マニュアルを作成する際のポイントを紹介します。しっかりした業務マニュアルがあれば、

作業手順が明確になり、人によって生じる業務の品質を均一化でき、属人化もなくせる

はずです。

一方で、現場では、

  • 通常業務で手一杯なので、業務マニュアルを作成する時間は取れない
  • わざわざマニュアルを作らずとも、業務は回せている

というかもしれません。そのままでは、業務マニュアルを作成する機運は高まらないのです。このジレンマを解消していく方法を探っていきましょう。

2 まずは、マニュアル化できそうな業務を考えてみる

1)マニュアル化に向くのは「非属人的な業務」

業務マニュアルの作成は、スモールスタートが成功の秘訣です。まずは、マニュアル化の負担が小さい業務を対象に検討しましょう。

例えば、人事の業務を例に挙げると、次のように分けられます。

  • 採用
  • 労務管理
  • 社員教育 など

さらに、採用であれば次のような業務に分けられます。

  • 求人票の作成
  • 人材紹介会社から紹介された求職者の選定
  • リアル・オンラインでの採用面接
  • 求職者への合否通知 など

このうち、マニュアル化の対象は「非属人的な業務」です。非属人的な業務とは、

何度か経験すれば誰でも同じ成果を出せるものや、状況に応じた選択肢がパターン化されているもの

です。逆に、社員個人の経験や知識を基に感覚的な判断が求められる「属人的な業務」はマニュアル化に向きません。

2)マニュアル化による効果などを明らかにする

マニュアル化する業務を絞り込んだら、個々の業務を対象に、

マニュアルの利用者、マニュアル作成の締め切り日、マニュアル化による効果

を明らかにし、優先度の高いものから作成します。具体例は次の通りです。

  • 利用者:人事部のメンバー
  • 締め切り日:○○○○年○月○○日
  • 効果:人事の業務時間が○○時間短縮される、引き継ぎが円滑になる

3 マニュアルの作成ポイント

1)小さくまとめてから肉付けをする

マニュアルの作成で陥りがちなのが、一度に全てを網羅した完璧なマニュアルにしようとすることです。これを避けるためには、

マニュアルの単位を小さく整理すること

が大切です。小さくまとまっていれば、マニュアルを利用する人にも分かりやすく、後日、更新する際の手間も少なくできます。

単位に分ける場合、まずマニュアル化する業務と、その作業手順を書き出して、重要度の高いものから内容を肉付けしていきます。

2)業務を短く簡潔にまとめる

マニュアル作成の前提は、マニュアル化する目的、つまり、経営者の思いが共有されていることです。これがないと、

マニュアル通りにやっているはずなのに、会社の理念とは異なる対応

が出てしまうわけです。

この前提が満たされていることを条件に、

マニュアルは短く簡潔に、専門用語をできるだけ使わずに作成

しましょう。作業手順が箇条書きになっていても構いません。具体例は次の通りです。

1.箇条書きで、一目で分かる場合

  • エクセルを開く
  • 求職者数と採用者数のデータを入力する。対象は先々月、先月、当月の3カ月間
  • ツールバーの「挿入」から「折れ線」を選択して、折れ線グラフを作成する
  • 折れ線グラフを「採用実績報告書」に挿入する

2.文章で、一目では分かりにくい場合

エクセルを開いて、先々月、先月、当月の3カ月間の求職者数と採用者数のデータを入力し、ツールバーの「挿入」から「折れ線」を選択して折れ線グラフを作成して、「採用実績報告書」に挿入する

一目では分かりにくい場合には、文章と併せて、作業中の画面キャプチャなどの画像も添付すると、業務の流れをよりイメージしやすくなります。

3)全体の構成などを検討する

マニュアルの全体の構成や内容を検討します。担当者でなければ分からない“難所“やありがちなミスを入れると良いでしょう。ミスや抜け漏れがないかを確認するために、チェックリストも用意しておきましょう。

4)作成時のルールを決める

複数のメンバーが共同でマニュアルを作成する場合はルールが必要です。具体的には、

  • 保管場所やファイル名
  • フォントの種類やサイズなどの記述・レイアウト

などについてあらかじめルールを決めておきましょう。

4 マニュアルを実際に使ってもらおう

マニュアルが形になったら、

若手社員やその業務を引き継ぐ予定の後任者にマニュアルを使ってもらい、問題なく業務が進められるかどうか

を試してみましょう。

マニュアルの作成担当者は分かりやすく作成したつもりでも、業務に慣れていない人がマニュアルを見たり、実際に作業をしたりすると分かりにくい箇所が出てくるかもしれません。指摘を受けつつ、こうした点を改善することで使いやすいマニュアルになります。

以上(2025年1月更新)

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画像:yelosmiley-Adobe Stock

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