書いてあること
- 主な読者:会議用資料の準備や保管にかかるコストを削減したい経営者
- 課題:紙の会議用資料の印刷や配布に時間がかかっている。保管にスペースを割いている
- 解決策:ノートPCやタブレット端末を配備して、紙をなるべく減らしていく
1 会議用資料、「紙」で配るのをやめませんか?
「横に並べると比較しやすいから」「手書きでメモが取れるから」「ずっと前から紙だから」といった理由で、紙で配られてきた会議用資料。しかし、コロナ禍を経てオンライン会議が増えたことなどで、
事前に必要な情報さえ連携されていれば、わざわざ紙を配る必要はない
と実感した人も多いでしょう。
会議の関係者(参加者)に必要な情報をデータで連携すれば、
- 会議用資料の印刷、配布など準備にかかる人件費を削減
- 会議用資料の印刷(紙・インクなど)や、保管にかかるコストを削減
- 紙を使わない分だけ環境負荷を軽減
できます。
会議用資料をすべてデータで連携する「完全ペーパーレス化」は、一気には難しいかもしれません。まずは、紙の会議用資料の「裏側」にあるコストを認識することから始めましょう。その上で、紙をなるべく減らしていく「ペーパーレス化」を検討してみてはいかがでしょうか?
2 「紙」をなるべく減らしていく方法
1)ノートPCやタブレット端末を配備し、必要な資料はデータで連携する
ノートPCやタブレット端末を配備して、会議用資料を印刷して配る代わりに、データで連携するようにします。
会議用資料をパワーポイントなどで作成し、人数分印刷して座席に置いておくという会社もあるかもしれませんが、データとして連携すれば、関係者は自分のノートPCやタブレット端末で資料を閲覧できます。
会議の直前で資料にミスが見つかった場合でも、すぐに差し替えが可能です。
2)情報の更新が頻繁な場合は、オンラインで共同編集可能なドキュメントを活用する
プロジェクトの課題管理表などのように、会議用資料として連携したい内容が頻繁に更新される場合は、GoogleやMicrosoftなどが提供する、オンラインで共同編集が可能なドキュメントを活用してみましょう。関係者とドキュメントを共有すれば、メールで添付ファイルをやり取りすると起こりがちな、どのファイルが最新なのかが分からなくなる事態を避けられます。
例えば、次のようなサービスがあります。
■Google ドキュメント■
https://www.google.com/intl/ja_jp/docs/about/
■Microsoft OneNote■
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onenote/digital-note-taking-app/
■Dropbox Paper■
https://www.dropbox.com/ja/paper
■Evernote■
3)投影資料と配布資料は全く同じでなくても構わない
会議中にプロジェクターで投影(オンライン会議ツールの画面で共有)する資料は、見た目のインパクトを狙って、パワーポイントのアニメーション機能を使ったり、動画を埋め込んだりすることがあるかもしれません。こうした投影資料はファイル容量が大きくなりがちで、そのまま配布資料としてデータで連携する際は注意が必要です。
配布資料で最も重視すべきことは読みやすさです。一方、インパクトが必要な部分もあるため、アニメーション機能や動画の埋め込みは最小限にしたほうが無難です。パワーポイントのファイルをPDF形式に変換することで、ファイル容量を小さくできる場合もあります。
4)クラウド型のペーパーレス会議システムを利用する
クラウド型のペーパーレス会議システムは、サービス提供事業者がデータセンターに構築したシステムを利用するものです。
自社でノートPCやタブレット端末を配備するなど、環境を整えればすぐに利用を開始できます。有料サービスですが、簡単な操作で会議用資料を関係者に連携したり、閲覧権限などの設定をしたりすることが可能になり、ペーパーレスでの会議の利便性が向上します。
例えば、次のようなサービスがあります。
■日本インフォメーション「スマートセッション」■
https://www.nicnet.co.jp/next/smartsession/
■富士ソフト「more NOTE」■
■キッセイコムテック「Smart Discussion」■
■MetaMoJi「MetaMoJi Share for Business」■
https://product.metamoji.com/share/
■エステック「ECO Meeting」■
■NECソリューションイノベータ「ConforMeeting」■
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sl/conformeeting/
5)インタラクティブホワイトボード(電子黒板)を活用する
インタラクティブホワイトボード(電子黒板)は、パソコンの画像を大画面に映し出し、その画面上で直接操作したり、書き込んだりすることができる、ディスプレータイプやプロジェクタータイプのICT機器です。大画面とオンライン会議の画面が連動しており、カメラやマイクが内蔵されているタイプのものもあるため、特に対面とオンラインの併用会議で効果を発揮します。
例えば、次のような製品があります。
■日本電気(NEC)「Brain Board」■
https://jpn.nec.com/products/ds/solution/allbrains/bb_top.html
■リコー「インタラクティブホワイトボード(電子黒板)」■
■アイリスオーヤマ「AIインタラクティブホワイトボード」■
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/iot/products/interactive-whiteboard/
■テクノホライゾン「ELMO Board」■
https://www.elmo.co.jp/lp/elmoboard/
■LED TOKYO「SHIROBAN」■
3 便利なサービス 比較のポイントは?
1)使いやすさ
本格導入した際に今まで通りの流れで会議の進行ができるかどうかがポイントです。ペーパーレス会議といっても、会議の流れは変わりません。トライアル期間が設けられているサービスも多いため、直感的に操作できるか、機能が多く複雑過ぎないかなど、使い勝手を確認しましょう。
慣れるまでは、紙の使用を全て禁じる必要はありません。資料の中で重要だと思った部分は各自の判断でプリントアウトするなどすれば、導入したサービスの定着にもつながるでしょう。
2)セキュリティー
情報漏洩対策がしっかり取られているかがポイントです。不正アクセスやマルウエアへの感染対策はもとより、ノートPCやタブレット端末に情報を残さないように設定できるかなど、事前に確認しましょう。
以上(2023年9月更新)
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画像:flydragon-Adobe Stock